アメリカの抗議運動史と「国民」の境界ー黒人解放と反帝国主義からの考察

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    アメリカの抗議運動と「国民」の境界

     アメリカ合衆国はその建国以来、多様な「人種」や「民族」を内包または排除することにより、その歴史を進めてきた。「アメリカ国民」は「人種」や「民族」に関わりなく、「自由・民主主義」という建国理念の下に集まった共同体とみなすことができ、それに挑戦する勢力を打倒し「他者化」をはかることで、国民統合の紐帯を確認し、逐次共同体の構造化を更新してきたといえる。言い換えれば、多様性・多元性をその基盤に取り込むことによって、国民統合をより強く、開いたものしてきているということであり、それは決して過去の現象でもない。逆にいえば、アメリカは一方では「普遍的価値」を標榜しながら、「他者」を作り続けるという二面性を持っているといえる。そのような意味から、ここではアメリカ「国民」は「創られたもの」とする視点をとりたいと思う。
     18世紀後半に、イギリス帝国からの「独立」により成立したアメリカでは、それ以降現在に至るまで、上記のようなカテゴリーにおさまらない人々、すなわちアメリカ「国民」として認められない人々が多様な政治的、または社会的権利を要求して抗議運動を展開してきた。...

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