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    資料紹介

    目次
    はじめに 2
    第1章 JAL-JAS統合効果 3
    第1節 統合に至った経緯 3
    第2節 統合による成功と失敗 4
    第3節 ANAの改革 5
    第2章 中期経営計画の差 6
    第1節 目標の明確さとスピード 6
    (1) 人件費 6
    (2) 使用航空機の機種統合とダウンサイジング 7
    第2節 業績に表れる目標達成力 9
    第3章 国内線事業での成功 11
    第1節 国内線市場の現状 11
    (1) 競争が激化する国内線市場 11
    (2) 大幅に値上がりした普通運賃 12
    第2節 旅客収入の拡大 13
    (1) 損益分岐座席利用率の利用 13
    (2) プレミアム戦略での勝利 13
    第4章 国際線事業の現状と展望 16
    第1節 国際線旅客事業 16
    (1) 航空アライアンス 16
    (2) 国際線旅客事業の現状 17
    第2節 国際線貨物事業 18
    第3節 国際線事業の展望 21
    おわりに 23
    参考文献 24
    はじめに
     かつて日本の航空業界は日本航空(以下JAL)が国際線を、全日本空輸(以下ANA)が国内幹線を、日本エアシステム(以下JAS)が国内ローカル線を担当し、各社概ねの事業分野で収入源を確保

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    資料の原本内容

    目次
    はじめに 2
    第1章 JAL-JAS統合効果 3
    第1節 統合に至った経緯 3
    第2節 統合による成功と失敗 4
    第3節 ANAの改革 5
    第2章 中期経営計画の差 6
    第1節 目標の明確さとスピード 6
    (1) 人件費 6
    (2) 使用航空機の機種統合とダウンサイジング 7
    第2節 業績に表れる目標達成力 9
    第3章 国内線事業での成功 11
    第1節 国内線市場の現状 11
    (1) 競争が激化する国内線市場 11
    (2) 大幅に値上がりした普通運賃 12
    第2節 旅客収入の拡大 13
    (1) 損益分岐座席利用率の利用 13
    (2) プレミアム戦略での勝利 13
    第4章 国際線事業の現状と展望 16
    第1節 国際線旅客事業 16
    (1) 航空アライアンス 16
    (2) 国際線旅客事業の現状 17
    第2節 国際線貨物事業 18
    第3節 国際線事業の展望 21
    おわりに 23
    参考文献 24
    はじめに
     かつて日本の航空業界は日本航空(以下JAL)が国際線を、全日本空輸(以下ANA)が国内幹線を、日本エアシステム(以下JAS)が国内ローカル線を担当し、各社概ねの事業分野で収入源を確保する、バランスの取れた3社体制が採られていた。しかし2002年10月2日、JALとJAS が経営統合を行ったことでそのバランスは崩された。統合前は3社体制であった国内線だが、統合後は2社体制となった。経営統合時、誰もがJALが「勝者」、ANAが「敗者」の構図を予測していた。
    図表1-1を見てもらいたい。国内線旅客数、旅客収入において2003年度は確かに統合に成功したJALがその強さを発揮した。ANAは、国内線の旅客数、旅客収入ともにJALに抜かれてしまった。しかし、2004年度から2005年度を見てもらうと、いずれにおいてもANAがJALを逆転している。さらに図表1-2を見てもらいたい。連結売上高でみると明らかにJALの規模が大きいことが伺えるが、経常利益はANAが上回っている。
    勝敗が明らかであった国内線で、ANAが統合後のJALを逆転することのできた理由は何だろうか。本論考ではJAL-JAS経営統合からANAがどのようにしてJALを逆転することができたのか、ANAの強さについて書いていきたい。
    図表1-1国内線旅客数と旅客収入の推移    図表1-2連結売上高と経常利益の推移
    第1章 JAL-JAS統合効果
    第1節 統合に至った経緯
    2002年10月にJALがJASに持ちかけた経営統合の背景には、「45/47体制」 のなごりが大きく影響している。JALは連結売上高1兆7千億円(2001年3月期)を誇る国内最大の航空会社だが、売上高に占める国内線シェアは25%しかなかった。世界の大手航空会社を見渡すと、彼らは一様に売上高の7割を国内線で稼ぎ、その原資を国際線に回して激しい競争を繰り広げている。JALは国際線で成功するために、安定した需要を見込める国内線でシェアを伸ばし、経営を安定させる必要があった。2002年2月に航空改正法が施行されたことで、国内線は路線参入も撤退も自由になるはずであった。しかし、蓋を開けてみればシェアを拡大するチャンスはなかった。空港容量の関係で、羽田空港など主要空港の離発着枠には制限があり、いつ、どこにでも自由に就航できるようになったわけではなかったのだ。そこでJALは国内3番手のシェアを持つJASを傘下に入れることで、国内線拡充を図ったのだ。
    一方、JASはすんなりと統合を受け入れたかと言えばそうではない。それは、JALによる吸収合併になることを恐れていたからだ。しかし、JASの経営状況はまさに窮地に追いやられていた。JASの担当する「国内ローカル線」の大半は不採算路線であったからだ。これでは赤字体質からなかなか脱出できない。さらにJASは、資産の60%を占める機材の減価償却が最長で27年と他者よりも数年長いうえ、123億円もの累積債務を抱えていた。本来ならば資本増強は避けられないが、当時、JASの親会社である東急電鉄は増資に応じる余裕がなかった。そこでANAがJASのメインバンクである東京三菱銀行に買収の意向を打診したが、JASは頑なにそれを拒否した。あくまでも自主再建の道を進みたかったからだ。それならばと、取引先の銀行は融資の借換期限を盾に、根本的な再建計画をJASに迫ってきた。JALがJASに統合を持ちかけたのは、まさに自主再建か、他者との統合に踏み切るかの2択を迫られている最中であった。さらにJALは「対等に、相互補完」という形で経営統合を持ちかけた。これならJASも安心して統合に応じることができると考えたからだ。
    最終的には対等な統合にはならなかったが、こうして2002年10月、JALとJASは持ち株会社を設立し、連結売上高2兆1221億円(2000年度)の、世界水準にも匹敵する航空会社が誕生した。
    第2節 統合による成功と失敗
     JAL-JAS統合によって国内は2社体制になり、JALは国際線だけではなく国内線でもシェアNo.1を誇った。図表1-3、1-4を見てもらいたい。たしかに統合によってJALはシェアNo.1になったが、ANAとの差はたった2%しかない。しかし、たった2%でもJALがANAのシェアを抜いたということは、JALにとって重要なことだった。国内で最も需要の高い路線は羽田‐札幌、羽田‐福岡、羽田‐伊丹の3路線だが、JALは統合によってこの主要3路線のシェアを大幅に拡大できたのだ。路線数で比較すると、羽田‐札幌間はJAL24便に対しANA13便、羽田‐福岡間はJAL23便に対しANA14便、羽田‐伊丹間はJAL12便に対しANA8便である。この主要3路線はJALの圧倒的ドル箱路線 となったことが言える。これは完全に統合による成功だ。
    図表1-3国内線シェア(統合前)       図表1-4国内線シェア(統合後)
     さらにJALは、統合によって空港カウンターや国内各支店、人員の重複などを整理することで約700億円のコスト削減が可能になると予想していた。これからシステム統合などにかかる経費約200億円を差し引いてもしても、年間約500億円の増収が見込まれていた。しかしコスト削減において統合効果が発揮されることはなかった。
    統合によって得られる効果を生み出すためには、あらゆる諸問題を整理しなければならない。しかしJALはもともと国策会社なので、組織全体に危機意識が薄く、問題を先送りする体質があった。その体質が、JAL-JAS統合を失敗へと導いた。
    JALは労使関係において経営陣が現場の声を聞くという意識が非常に薄かったように思われる。会社が統合するとなれば、当然社員も増える。パイロットや客室乗務員は統合によって増えた便数に応じて人数が必要になってくるが、地上職は必要ない。そうなるとリストラが必要になってくるが、会社側と社員側が双方とも納得のいくリストラは難しい。さらに社員が増えると労働組合も同様に増える。この統合によってJAL内には9つの組合ができたが、経営陣が組合と対峙してこなかったために、2006年10月まで賃金体系が一致せず、社員に不満の声が溢れた。こうなるとなかなか戦略を持ったリストラができなくなる。そこでJALはコスト削減のために整備の1番重要な部分を子会社に押し付けたり、外注化したりした。すると本社側から経営の目線で整備を見る人がいなくなり、人材も枯渇し、整備力の低下を招いた。それが相次ぐ運行トラブルの原因となったのだ。相次ぐ運行トラブルはJALの信頼を薄くし、顧客離れを引き起こした。成功に見えたJAL-JAS統合だったが、統合してシェアを伸ばすことに満足し、その裏にある諸問題などを先送りしたりするJALの安易な行動のツケが回ってきたのだった。 
    第3節 ANAの改革
     ANAにとってJAL-JAS統合は、「上申書」を提出するほど容認しがたいものだった。それは第2節でも少し取り上げたように、シェアでは確かに2社体制だが、主要路線数などで比較するとANAが圧倒的に不利になるからだ。しかしANAの想いは届かず、JAL-JAS統合は実現してしまった。この統合はANA全体に緊張感と危機感をもたらした。しかしANAはJALが統合効果を上手く発揮できていない時間を有効に使い、ピンチをチャンスに変えていったのだ。
    ANAは国内線1位のプライドを捨て、新しく会社を作りなおす気持ちで改革を推し進めていった。まずはコスト削減をし、会社の財務体質を改善した。ANAの顔でもある国内線については、「シェアの獲得」から「利益重視」に戦略を転換させ収益を増やした。そして1986年の進出以来、なかなか黒字化できなかった国際線については2002年から自立を目指し、「JALの後を追う2番手の国際線」ではなく「採算の取れる国際線」へと目標を変えた。これらの改革が功を奏し、ANAは統合後のJALをものともしない「強い会社」へと生まれ変わったのだ。
    第2章 中期経営計画の差
    第1節 目標の明確さとスピード
    (1)人件費
    中期経営計画とは、企業が中期的に目指す、あるべき姿と現状とのギャップを埋めるための計画だ。中期経営計画を立てることで、取り組まなければならない問題の早期発見ができ、問題を解決することにより企業は成長していく。よって、中期経営計画の達成には目標の明確さとスピードが重要になってくる。この章ではANAとJAL、2社の中期経営計画を比較しながら目標達成の明確さとスピードについて見ていく。
    航空事業は大幅な費用がかかり、さらに不況期のリスクも大きい...

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