この「民衆の大英帝国」は近世ヨーロッパにおいて数多く発生した人口移動の中のひとつ、当時最盛期を迎えつつあったイギリス帝国のアメリカ移民について述べられたものである。民衆の、とあるのは、大英帝国の発展していく歴史的過程においてはともすれば政治史的な面ばかりが強調されがちであるが、同様に民衆から見た社会史的な側面を重要視しようとする姿勢の表れと思われる。
近世のイギリス帝国は1700年代において、フランスなどとの対外戦争に次々と勝利し、広大な植民地を手に入れ、対外的な隆盛を背景とした資本の蓄積が行われ、人類史上初めての産業革命の始まりを経験する。同時に、イギリスが植民地としていたアメリカ合衆国が独立を達成するのもこのころである。本書で述べられるようにアメリカはイギリスが重商主義的政策を推し進めるモデルとなった植民地であり、どのようなイギリスの人々がどのような経緯でアメリカに渡ることになったかを本書は明らかにしていく。
ヨーロッパ社会思想論
「民衆の大英帝国」川北稔
この「民衆の大英帝国」は近世ヨーロッパにおいて数多く発生した人口移動の中のひとつ、当時最盛期を迎えつつあったイギリス帝国のアメリカ移民について述べられたものである。民衆の、とあるのは、大英帝国の発展していく歴史的過程においてはともすれば政治史的な面ばかりが強調されがちであるが、同様に民衆から見た社会史的な側面を重要視しようとする姿勢の表れと思われる。
近世のイギリス帝国は1700年代において、フランスなどとの対外戦争に次々と勝利し、広大な植民地を手に入れ、対外的な隆盛を背景とした資本の蓄積が行われ、人類史上初めての産業革命の始まりを経験する。同時に、イギリスが植民地としていたアメリカ合衆国が独立を達成するのもこのころである。本書で述べられるようにアメリカはイギリスが重商主義的政策を推し進めるモデルとなった植民地であり、どのようなイギリスの人々がどのような経緯でアメリカに渡ることになったかを本書は明らかにしていく。
当時のイギリスにはサーヴァントという職業形態があった。サーヴァントは直訳すると召使であるように、普通は住み込みで主人に仕...