「商品」は人類の歴史と共に進化し多様化してきた。それは研究対象の多様化にも繋がり、並行して商業研究も多種多様な研究方法が生み出されてきた。商業を研究するうえで認識の必要がある対象と方法を以下に論ずる。
「商品」は人類の歴史と共に進化し多様化してきた。それは研究対象の多様化にも繋がり、並行して商業研究も多種多様な研究方法が生み出されてきた。商業を研究するうえで認識の必要がある対象と方法を以下に論ずる。
一般に、経済学の研究対象とする経済事象には、個々の経済単位の経済行為としての経済活動と、社会的、総合的な無意識的経済現象との二つが認められている。経済活動とは、国民経済学に対立して、特有の認識目的を有する企業の諸活動である生産活動、売買活動、消費活動などの経済事業体のことをいう。他方で、このような個別経済の意識的活動が、多数に社会的に総合された国民経済全体、無意識的な一つの社会現象としての経済現象が成立する。このように、広く商業の科学的研究としての領域、経済学の対象である経済現象は、個別経済の意識的・主体的な経済活動と、それらの社会的総合の結果としての無意識的な経済現象の二つに区別すると、商業の研究対象も、これに対応して二つに区別することができる。即ち生産者から消費者へ至る商品の移転を、経営的あるいは個別経済的に研究する意思活動の視点と、経済的あるいは国民経済的に研究する流通現象の視点...