第24回 レポート課題 「中止犯」
ケース
かつて金庫破りの天才といわれたXは、長く足を洗っていたが、妻の治療費に困って、深夜の銀行に進入した。金庫を開け始めたが、悲しむ妻の顔が脳裏をよぎったため、続けられなくなり、金庫を開けずに途中でその場を立ち去った。しかし、いずれにせよその日たまたま金庫は空であった。Xの罪責を論ぜよ。
一度、犯罪の実行行為に着手したものの、自らの意思でもって、その行為を達成せずに中止した今回の場合のような事例において、中止犯としてXの罪責を軽減することは可能であるか、という問題である。現代の刑法において、自らの良心...