インドネシアは、世界で最も多様性に富んだ国である。地理的には熱帯の海洋に囲まれた広大な領域をなし、その大きさは、東西500キロメートル、南北4000キロメートルと、西ヨーロッパ全土をすっぽり包み込めるほどの大きさである。このなかに1万余りの大小の島が展開している。その構成はカリマンタン、スマトラ、イリアン・ジャヤなどの世界で有数の大島から、東部インドネシアの小スンダ列島海域の鎖状の小さな島まで非常なバラエティを持つ。また、このインドネシアの総人口は、現在2億600万人と世界で4番目に大きいが、その分布は著しく遍在している。6割の人口を占め、高い人口密度と発達した産業を持つジャワ、石油とプランテーションの発達したスマトラから、非常に人口希薄で、未開発の熱帯林におおわれたカリマンタン、いりアン・ジャヤまで多彩である。またそれぞれの地域の伝統や文化、社会構造には著しい相違があり、経済を見ても原始的農業から発達した製造業まで地域差が激しい。したがって、「地域開発」といった場合も、インドネシアでは、その中身に特別な意味をもつといえるだろう。対象とする地域は、歴史的にも社会的にもそのベースが全く違っており、それぞれが国民経済の一部分というよりは、異質で何層もの構造を持った経済単位の集合体である。これらを統合し、有機的なつながりのある一国の国民経済を作り上げるには、特別な努力と困難が伴うだろう。下手をすると地域それぞれがばらばらとなってしまう恐れさえある。インドネシアがたどった歴史の中で、地域独自の特性をいかしつつ、国全体の経済を促進することは、インドネシアが常に国づくりをする上での基本的なテーマである。
インドネシア政府は、1960年代の後半から開発5ヵ年計画を軸に、全国的な経済開発を促進するための政策を強力に推し進めてきた。
インドネシアは、世界で最も多様性に富んだ国である。地理的には熱帯の海洋に囲まれた広大な領域をなし、その大きさは、東西500キロメートル、南北4000キロメートルと、西ヨーロッパ全土をすっぽり包み込めるほどの大きさである。このなかに1万余りの大小の島が展開している。その構成はカリマンタン、スマトラ、イリアン・ジャヤなどの世界で有数の大島から、東部インドネシアの小スンダ列島海域の鎖状の小さな島まで非常なバラエティを持つ。また、このインドネシアの総人口は、現在2億600万人と世界で4番目に大きいが、その分布は著しく遍在している。6割の人口を占め、高い人口密度と発達した産業を持つジャワ、石油とプランテーションの発達したスマトラから、非常に人口希薄で、未開発の熱帯林におおわれたカリマンタン、いりアン・ジャヤまで多彩である。またそれぞれの地域の伝統や文化、社会構造には著しい相違があり、経済を見ても原始的農業から発達した製造業まで地域差が激しい。したがって、「地域開発」といった場合も、インドネシアでは、その中身に特別な意味をもつといえるだろう。対象とする地域は、歴史的にも社会的にもそのベースが全く...