1. 研究の背景、目的
現代社会の生産、流通、消費はブランドに始まり、ブランドに終わる。ブランドのパワーを通じた競争優位を構築することを目標に企業活動が推進され、消費者も好むと好まざるとにかかわらずブランドを基準にしながら消費・購買活動を行っている。このように、ブランドは単なる名前やロゴ、シンボル、スローガンではなくなった。今日ではわれわれの日常生活の一部になったと言っても過言ではない。
日本の旅行業はバブル経済崩壊以後、顧客の増加はあるものの、価格破壊により厳しい収益環境を余儀なくされている。旅行商品の価格競争の激化、これに従う旅行業全体の収益性の悪化は深刻な状態である。最近の旅行業のもう一つの現状は旅行商品の消費者である旅行客の意識変化と消費行動の変化が挙げられる。すなわち、これは旅行客が旅行商品の価格より自分の経験価値をもっと重要視することを意味する。旅行客は単純な価格の安さよりも多少価格が高くても自分にとって経験価値がもっと高いものを求めている。
本研究は、旅行業をめぐっている現状を見ながら無形のサービス商品である旅行商品の購買決定におけるブランドの構成要因を理論的かつ実証的に明らかにすることが目的である。本研究で挙げられる旅行商品は、現在日本の旅行業で販売されているブランド商品すなわち主催旅行商品をその範囲とする。
2002.5.7(火)
旅行商品のブランド・マーケティングに関する研究
本研究は、無形のサービス商品である旅行商品について、ブランド・マーケティング論の視点から分析しようとするものである。旅行商品の購買決定に影響を及ぼすブランドの構成要因を理論の考察及び実証研究を通じて検証することがその目的である。
論文の構成(予定)
第1章 序論
研究の背景と目的
従来の研究と本研究の位置付け
研究の対象と範囲
研究の方法と構成
第2章 旅行商品に関する理論的考察
旅行商品の理論的基礎
旅行商品の概念
旅行商品の特性
旅行商品の分類
旅行商品の構成要素
2節 パッケージツアー
1.パッケージツアーの概念
2.パッケージツアーの特性
3.パッケージツアーの発展過程
第3章 ブランド・マーケティングに関する理論的考察
ブランドの定義及び役割
ブランド研究の流れ
ブランドエクイティ
第4章 日本旅行業における旅行商品のブランド化
1節 社名のブランド化―企業イメージ
2節 商品群のブランド化―パッケージツアー
第5章 実証研究
1節 調査の目的と対象
2節 調査の方法と手続き
3節 調査結果のまとめ
第...