序論
ジェイン・オースティンは18世紀から19世紀初頭にかけて活躍したイギリスの女流作家である。彼女が生きた時代は、人々の価値観が古典主義・理性重視の時代から、ロマン主義・感情優先の時代へと変化していく過渡期の時代だった。オースティンの作品には必ずといっていいほど、当時の社会階級や家庭状況が描かれているが、さらに特徴的なのは、常に女性の生き方と結婚がテーマになっていることである。19世紀に見られる厳格な階級社会に生きる女性の結婚、と聞くと彼女の作品を読むには当時の社会通念を頭に入れておかなければならないと思うが、そういった厳格さを感じさせないのがオースティンの優れた才能である。『エマ』も階級社会を前提に物語が展開していくが、コメディータッチに描かれているため、今この作品を読んでも古さを感じさせない。そういったオースティンの技法に非常に魅力を感じた。
一方、ヘレン・フィールディングの『ブリジット・ジョーンズの日記』は、1995年1月から日曜版の新聞『インディペンデント・オン・サンデー』に1年間に渡って連載され、たちまち巷の話題をさらい、連載終了後の翌96年に単行本になるとさらに多くの読者を獲得した。この時代のイギリスの傾向としてはトニー・ブレア首相の政策によって市民中心の新しい社会が生まれようとしていた。食革命が起こり、映画、デザイン、ファッション、音楽などが活気づいてきたのである。『ブリジット・ジョーンズの日記』から、こういった現代的イギリスの姿を読み取ることができる。この作品はブリジットを通じて現代の女性の悩みを考えさせられるものだが、やはり人生の転機とされる結婚がテーマとなっている。それらは全ての女性の悩みでもあるから、ブリジットがぶつかる困難や乗り越えた様々なことについて、多くの読者がブリジット自身になって喜んだり、落ち込んだりして、共に共感することができるのだ。
目次
Summary
序論
エマとブリジットの人間性
第2章 理想の女性像
第3章 結婚観について
結論
引用文献・参考文献
Summary
In present age in Britain, it is the time when a woman shows activity in various fields as female existence value becomes large. They were the women who were forced to take the position in which housekeeping at large should just do cooking, washing, child-rearing, etc. However, it becomes the present time, the form where a modern woman also comes out to society and works becomes general, and the position in which a woman is a...