この本では、普段自分たちが意識をほとんどしていない人間の意識構造について、日本人の意識構造を中心に考察している。はっきりいって、この本の著者である会田雄次氏の日本人の意識に対する視点はかなり独特だと思う。しかし、こういう風な考え方もあるのだなぁと考えさせられるとても興味深い本であった。
まず著者は、親が外敵から自分の子供を守るときの行動に触れている。日本人は子供を対面するように前に抱き寄せ、抱きしめて、熊とか自動車のほうにお尻を向けてうずくまる防御姿勢をとる。やはり自分も同じような行動をとるであろう。一方、アメリカ人は日本人とはさかさまの姿勢をとり、まず子供を後ろへはねのけて、前へ抱えるということはめったにしない。このように、日本人の風俗習慣がさかさまになるのは教育のせいらしい。昔日本は劣等国であったため、為政者は先進国に対抗して、自分たちは他国の真似などしていない独自の世界であるということを見せかけるために、日本人に対して反対の動作を教え込んだというのだ。しかし、為政者は本当にこのようにしたら日本が独自の世界に思われるとでも思ったのであろうか。私は、このようなことをしたら、逆に独自の世界というよりもおかしな国だと思われてしまうような気がする。まあ、この解釈が正しいにしても間違っているにしても今まで大きな問題になったことはないのだから、あまり気にすることでもないのだが・・・。
このように日本人の防御姿勢から考えてみると、日本人はどうも、敵は後ろからやってくるものであり、自分も後ろから攻めたほうがいいのだという観念が日本人にはとりわけ強いのだと思う。この例から著者は、日本は背後主義であると述べている。そして、これは、対応能力の欠如や内側に敵を求めるという日本的競争の論理につながるとし、これが日本の弱さとしている。
日本人の意識構造 風土・歴史・社会
著者 会田雄次 講談社現代新書 237頁 1972年出版
この本では、普段自分たちが意識をほとんどしていない人間の意識構造について、日本人の意識構造を中心に考察している。はっきりいって、この本の著者である会田雄次氏の日本人の意識に対する視点はかなり独特だと思う。しかし、こういう風な考え方もあるのだなぁと考えさせられるとても興味深い本であった。
まず著者は、親が外敵から自分の子供を守るときの行動に触れている。日本人は子供を対面するように前に抱き寄せ、抱きしめて、熊とか自動車のほうにお尻を向けてうずくまる防御姿勢をとる。やはり自分も同じような行動をとるであろう。一方、アメリカ人は日本人とはさかさまの姿勢をとり、まず子供を後ろへはねのけて、前へ抱えるということはめったにしない。このように、日本人の風俗習慣がさかさまになるのは教育のせいらしい。昔日本は劣等国であったため、為政者は先進国に対抗して、自分たちは他国の真似などしていない独自の世界であるということを見せかけるために、日本人に対して反対の動作を教え込んだというのだ。しかし、為政者は本当にこのよ...