暴力団対策法はすべての暴力団を規制するものではなく、「指定暴力団」のみを規制する。
まず、一定の要件を満たす暴力団を「指定」する。そして、公安委員会が暴力団を「指定暴力団」に指定する。そして、指定暴力団の活動(民事介入暴力)を規制する。これは刑事法ではなく、行政法による規制である。
規制の内容としては、不当な要求行為等の禁止、禁止行為に対する中止命令、対立抗争時の事務所の使用制限などがある。
暴力団対策法施行後の傾向としては以下の3 つがある。1 つめに暴力団の潜在化である。例えば事務所の代紋、提灯、当番表をはずすなど活動を隠蔽するようになった。2 つめに暴力団の仮装化である。例えば右翼、同和の活動の形をとるようになるなど身分を曖昧にするようになった。
3 つめに暴力団の高齢化である。これは平成5 年改正法によって、離脱阻害の規制や加入強要の規制、離脱・社会復帰の促進ないし支援が盛り込まれた影響からであり、20 代・40 代が減少した。
犯罪学 過去問研究レポート 2
暴力団犯罪
① 暴力団とは集団の暴力・威力を背景に資金獲得を行う組織のことをいう。この点、「弱気を助
け、強気をくじく」という任侠道を重んじ、日本古来の文化・伝統を維持する社会団体であるや
くざとは異なる。
② 1960 年代まではいわゆる農村型「やくざ」で親分が資金獲得活動を行って子分達に与えるとい
う形態がとられていた。その後、都市化・高度経済成長によって都市型「暴力団」へと形態が変
化した。この形態は大規模なやくざが小規模なやくざを取り込むもので、小規模なやくざは大規
模なやくざに守ってもらう分、お金を集めるという上納金システムがとられていた。これに...