交通犯罪者に対する対応としては刑事処分と行政処分がある。従来は刑事処分においては大半が罰金刑(略式)であり、行政処分については交通反則通告制度によって、刑罰の回避(非犯罪化)がなされていた。
このように、伝統型犯罪とは異なり一般的に寛容な扱いがなされていた理由は、交通犯罪の特殊性からである。すなわち、交通犯罪者である運転手は、たまたま交通事故を起こしてしまったという善良な市民であって、そのような善良な市民に前科を科するのは酷であると考えられていたのである。
しかし、近年においては、運転免許取得者の増加に伴う必然的状況として、法遵守の精神が欠如した悪質な市民が増えてきた。このような市民は悪質な道路交通法違反を行い、さらには業務上過失犯罪という重大な結果を引き起こしかねない。さらに、被害者の厳罰化を求める運動の影響から、交通犯罪者においても厳罰化をなすべきであるという認識が高まった。
そこで、最近の交通犯罪に対する法的対応として、まず刑事処分においては危険運転致死傷罪が創設され、危険な運転によって死亡事故を起こした者には、最大で懲役15 年が科せられることとなった。
さらに、行政処分については、道路交通法が改正され、死亡事故を起こした場合には原則として免許を取り消すことや酒気帯び運転による人身事故は免許取消の対象となるなどの厳しい対応がとられることになった。
犯罪学 中間レポート 7
選択問題番号 29.交通犯罪の態様について説明せよ。
交通犯罪には 2 種類の態様がある。
1 つ目に、業務上過失致死傷罪(刑法)である。この場合の特徴としては、過失犯であること、再
犯が少ないこと、被害が甚大であることが挙げられる。しかし、近年においては本当に過失犯なと
か疑わしいほどの悪質化の傾向が見られるようになってきている。
2 つ目に、道路交通法違反である。この場合の特徴としては、大半がスピード違反などの故意犯
であること、再犯が増加傾向にあること、被害が僅少であることが挙げられる。また、近年交通刑
務所には、道交法違反の再犯者が増加する傾向にある。...