商品の概念は、商品を扱う人々の立場によって様々な捉え方がされている。消費者にとっては、欲求充足のための手段である。小売業者にとっては、収益を獲得すべきものとして認識されている。商品の設計、製造、エンジニアにとっては、技術仕様としてみなされることが多い。企業の経営者にとっては、組織の存続と発展を担う収益源であり、経済活動をとおして社会に貢献するための手段として捉えられている。このように様々な理解があるなかで、本質的な部分を挙げるならば、商品とは市場における交換対象であり、生産・販売する者には収益をもたらし、購入・使用する者には便益効用をもたらすものといえる。つまり、商品には中核となる便益があり、それを提供する要素として商品の様々な機能が存在するという捉え方である。
様々な機能の一つに商品の構造がある。商品は色、柄、デザイン、包装、パッケージ、価格、商標、サービスといった様々な属性の複合体として存在している。これらの諸属性は、商品の形状や肌触りといった触知可能性の高いものからブランドやサービスといった触知不可能の高いものまである。触知可能性の高い物理的特性は、商品の機能や効果を発揮する...