「成人保健について述べよ。」
1.はじめに
成人保健では、現在生活習慣病に関する保健事業を中心として行っている。人口の高齢化に伴い、国民の疾病構造も大きく変化し、悪性新生物、虚血性心疾患、脳血管疾患など、いわゆる生活習慣病が健康上の重要問題となっている。
「生活習慣病」という概念は、かつての「成人病」対策として2次予防に重点を置いていた従来の対策に加え、生活習慣の改善をめざす1次予防対策を推進するために新たに導入した概念である。「成人病」から「生活習慣病」に改称された背景には、糖尿病など成人病の低年齢化、また生活習慣と病気の発症との間に高い相関性があることが明らかになったことがある。生活習慣病は、生活習慣を改善することにより、病気の発症や進行が予防できるという病気の捉え方を示したもので、生涯を通じた生活面の改善を強化する体制を整備するため、1996年から「生活習慣病」という言葉が用いられるようになった。
生活習慣病の予防対策には、健康を増進し発病を予防する「1次予防」、病気を早期に発見し早期に治療する「2次予防」、そして病気にかかった後の対応としての治療・機能回復・機能維持という...