戦後日本における流通論の展開

閲覧数5,490
ダウンロード数8
履歴確認

    • ページ数 : 2ページ
    • 会員550円 | 非会員660円

    資料紹介

     戦後日本の流通研究の流れは以下のようであったと捉えられる。後日本の流通研究における基軸として、重要な役割を担った代表的な論者の一人に、森下二次也氏が挙げられる。森下氏の中心的課題は、資本主義における商品流通を、自由競争段階と独占段階の2つの段階に区分し、両段階における全体的流通構造の比較分析を発展論的分析することであった。すなわち、森下氏が解明したことは、?資本主義的流通の一般的傾向(自由競争段階の商業組織から独占資本主義段階の配給組織への移行)、それを踏まえた上で、?日本流通機構の特殊性の二点である。
     流通研究の特徴について考える際に、とりわけ重要なことが、?の日本流通機構の特殊性についての評価である。森下氏は日本の伝統的な流通機構の特質として、小売業における小規模性・零細性・過多性・低生産性・生業性・前近代性、卸売業における他段階性・迂回性等を指摘している。こうした森下氏の評価を巡って、戦後日本の流通研究は激しく対立する二つの潮流が生み出された。すなわち、一方の潮流は、日本の伝統的な流通機構の特質を「遅れ」として捉え、流通機構の一層の「近代化」を推進する立場であり、他方の潮流は「遅れ」とは異なる、日本的特殊性ないし「違い」と捉え、日本の流通機構の「近代化」に対して批判的な視点を持つものである。つまり、戦後日本の流通研究の基本的研究課題は、?戦後日本の流通構造はどのように変化し、その規定要因は何か、?日本の流通構造が他国のそれとどのように異なるのか、?こうした異質な日本の流通機構の変革を求めることの是非を問うものとして展開されていった。

    資料の原本内容 ( この資料を購入すると、テキストデータがみえます。 )

    戦後日本における流通論の展開
     戦後日本の流通研究の流れは以下のようであったと捉えられる。後日本の流通研究における基軸として、重要な役割を担った代表的な論者の一人に、森下二次也氏が挙げられる。森下氏の中心的課題は、資本主義における商品流通を、自由競争段階と独占段階の2つの段階に区分し、両段階における全体的流通構造の比較分析を発展論的分析することであった。すなわち、森下氏が解明したことは、①資本主義的流通の一般的傾向(自由競争段階の商業組織から独占資本主義段階の配給組織への移行)、それを踏まえた上で、②日本流通機構の特殊性の二点である。
     流通研究の特徴について考える際に、とりわけ重要なことが、②の日本流通機構の特殊性についての評価である。森下氏は日本の伝統的な流通機構の特質として、小売業における小規模性・零細性・過多性・低生産性・生業性・前近代性、卸売業における他段階性・迂回性等を指摘している。こうした森下氏の評価を巡って、戦後日本の流通研究は激しく対立する二つの潮流が生み出された。すなわち、一方の潮流は、日本の伝統的な流通機構の特質を「遅れ」として捉え、流通機構の一層の「近代化」を推...

    コメント1件

    wanghuan 購入
    参考しました
    2006/12/08 8:40 (17年11ヶ月前)

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。