「判例法」、「法律不遡及の原則」

閲覧数6,952
ダウンロード数5
履歴確認

    • ページ数 : 3ページ
    • 会員550円 | 非会員660円

    資料紹介

    《序論》
     以下において、1.「判例法」がわが国における法源としてどのように位置づけられるのか、裁判事例を1つ取り上げて論じる。また、2.「法律不遡及の原則」について、特に「刑法」との関係を中心に説明することにする。
     《本文》
    ・1について
     まず、「法源」とはなにかということであるが、法律学小辞典によると、「通常は法適用するにあたって法として援用しうる法形式、特に裁判官が判決理由でそれを援用して裁判の理由としうる法形式を意味する」とある。通説によれば、「理由としうる」とは必要条件を意味し、抽象的な法理念や法格言、政策原理などは法源ではないとされている。法は成文法と不文法に大別され、成文法には国際法・国内法、さらに国内法は憲法、法律、命令などに分かれる。不文法は判例法、慣習法などである。私たちは日常的に考えて、文章化されている成文法が法律であると考えがちであるが、文章化されていない不文法も法律として大きな役割を果たしている。そのなかの判例法とは、一定の法律問題について、同一趣旨の判決が繰り返され、判例の方向が大体において確定した場合に、成分法化されることなく法的規範となるものである。判例法は、慣習法の特殊な形態であるとされ、裁判所によって形成されるものである点において一般にいわれている慣習法とは異なる。つまり判例法はわが国の法のなかの不文法、その中の慣習法の特殊な形態と位置づけられているのである。
     英米ではこの判例法が法の中心的役割を果たし、すでに同じような事件についての判決があれば、これを先例とするよう裁判官を拘束する「先例拘束性の原則」が確立している。これに対し、日本では、裁判官は、「憲法および法律にのみ拘束され」(憲法第76条3項)、上級審の判決でもその事件以外では、下級審を拘束しないため(裁判所法4条)、先例拘束性の原則は制度的には確立していない。

    資料の原本内容 ( この資料を購入すると、テキストデータがみえます。 )

    《序論》
     以下において、1.「判例法」がわが国における法源としてどのように位置づけられるのか、裁判事例を1つ取り上げて論じる。また、2.「法律不遡及の原則」について、特に「刑法」との関係を中心に説明することにする。
     《本文》
     ・1について
    まず、「法源」とはなにかということであるが、法律学小辞典によると、「通常は法適用するにあたって法として援用しうる法形式、特に裁判官が判決理由でそれを援用して裁判の理由としうる法形式を意味する」とある。通説によれば、「理由としうる」とは必要条件を意味し、抽象的な法理念や法格言、政策原理などは法源ではないとされている。法は成文法と不文法に大別され、成文法には国際法・国内法、さらに国内法は憲法、法律、命令などに分かれる。不文法は判例法、慣習法などである。私たちは日常的に考えて、文章化されている成文法が法律であると考えがちであるが、文章化されていない不文法も法律として大きな役割を果たしている。そのなかの判例法とは、一定の法律問題について、同一趣旨の判決が繰り返され、判例の方向が大体において確定した場合に、成分法化されることなく法的規範となるものである。...

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。