「保育者の専門性と資質について述べよ」
1 専門性
保育職というのは、一見単純な仕事であるように思われることもあるだろう。乳児にミルクを飲ませ食事を与え、オムツを替えるなどの生理活動を充足させ、後は一緒に遊んでいるだけ、というように見られるかもしれない。
保育所保育指針の総則では保育所の基本を「子どもが健康、安全で情緒の安定した生活ができる環境を用意し、自己を十分に発揮しながら活動することができるようにすることにより、健全な心身の発達を図るところにある」としている。また「子どもは豊かに伸びていく可能性をそのうちに秘めている。その子どもが、現在を最もよく生き、望ましい未来をつくり出す力の基礎を培うこと」を保育の目標としている。このように、人間が成長していく中で最も人格形成に影響を与える時期である乳児期に関わり、育てていく保育士は決して単純な立場ではないことがわかる。子ども一人ひとりの心理を読み取って受け入れ、成長や発達を敏感に感じ取り、発達に合わせ適切に対応をするという点からも、母親の育児とは違った専門性が見えてくる。このような保育を行うためには、もちろん乳幼児保育に関する広範な知識...