生命の誕生から動物・植物への分化

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       「生命の誕生から動物・植物への分化、および進化について述べよ。」
     地球が誕生したのは約46億年前であると推定されている。ここでは、地球にどのような変化があり、生命が誕生及び進化していったのかを以下のように述べる。
    1. 生命体とは、遺伝子情報を持ち、その遺伝子情報を自ら複製し増殖させる能力を持つもののことである。地球に最初の生命が誕生したとされるのは今から約38億年前の海の中である。この頃から現在にいたるまで生物の基本的構造は変わっておらず、植物のように自分で有機物を合成することが可能な生物を「独立栄養生物」、動物のように有機物を体内に取り込んで利用する生物を「従属栄養生物」と呼んでいる。従属栄養生物は独立栄養生物が合成した有機物を食料とするため、単独では生き抜くことは不可能である。しかし、この地球上には独立栄養生物よりも先に従属栄養生物が誕生したとされている。これは確かな確証をもって認められているものではないが、アメリカの化学者であるミラーが1951年に有機物合成を完成させたときに使用された装置に近い構造を持つものがあると最近の研究から明らかになり、生命の誕生につながるのではないかと考えられている。これは、「海底熱水噴出口」のことであり、海底から地中にしみこんだ海水がマグマによって熱せられ、熱水として上昇する。このときにさまざまな物質がこの中に溶け込み、メタンや硫化水素、アンモニアといった成分を持ったまま噴出口から噴出する。このとき噴出された液は物質を多数含むことから黒色となり、「ブラックスモーカー」と呼ばれる。このブラックスモーカーこそが、地球最初の原始生命体の誕生につながったのではないか、とされているのである。
     生命誕生後、生命は進化し続けたが、地球の誕生後約20億年間の大気成分は二酸化炭素や硫化水素が主であり、硫化水素などを利用して呼吸していたため、酸素は有害であり毒であるという現在の生命体の構造とはまったく正反対な一面を持っていた。これら原始の生命体の中から進化したラン藻類が画期的な発明である、太陽エネルギーを利用して水と二酸化炭素から有機物及び酸素を作り出すという光合成を開始し、繁殖及び酸素排出を繰り返すことによって現在の地球の基盤が出来上がったのである。
    2. 大気成分が変化するとともに、生物にも進化が見られるようになっていった。単細胞生物の中に好気性細菌が共生し、自分が活動するためにエネルギーを作成するため、酸素を吸って二酸化炭素を排出するという呼吸が開始された。これに伴い、葉緑体という微小生物を共生させた「植物性細菌」と、自身で動きスピロヘータという鞭毛を持つ生命体に共生し活動する生き方を選んだ「動物性細菌」が誕生したのである。これらは、同じように細胞膜に覆われていたが、前者は体を支える細胞壁を持ち、植物細胞の浸透圧現象などが可能となり栄養分の生産を行うのに対し、後者は栄養分を消費するようになったことから、これまでの生物とは違い大きな違いをもつようになっていったとされる。
    3. 大気内の酸素濃度が上昇したことでオゾン層が形成され、地上に到達する紫外線が減少し、直射日光下においても生物の生存が可能となる環境が形成され、先カンブリア終期の約6億年前には海の浅瀬に進出する植物が現れ始め、古生代半ばの約4億年前にはラン藻の進化系である藻類が上陸するようになっていった。この藻類はコケ類に進化したものの、水辺から離れられず根・葉・茎の区別が不明瞭なものであった。藻類は更にシダ類に進化し、根・葉・茎の区別が明瞭になるとともに光合成を行い体を支えるといった機能分化の基盤形成もほぼ完成されたのである。その後、約3.5億年前には水辺にシダの大森林が形成され、現在の石灰層のもととなった。しかしこのシダ類は胞子で増殖するため、湿地以外にこの大森林が形成されることは無かったのである。
    古生代終期の約2.5億年前には地球の各地で大規模な地殻変動が起こり、海から陸地へと変化していった地域では水辺から離れている場所でも生息することができる種子植物が出現していった。しかしこの種子植物が生息する陸地は、水辺や水中と異なり乾燥の危険性や天候の直接的な影響を受けることに加え自身の体の重さを自分で支えなければならないといったさまざまな問題点を抱えていたため、種子植物は活動をそれらに適応させることができるよう体の仕組みを発達させるようになっていったのである。この中で最も重要な変化は、根・葉・茎の役割を変え吸収できる無機栄養分や水分は地下から取り込み、光合成に必要な光は地上から吸収できるようにしたことである。これとともに、子孫を残すために重要となる受精やその保護のための胚などの仕組みを発達させていった。これにより植物は、雄しべと雌しべから形成される花を持ち乾燥に強い種子を生み出し保存をしやすくするといった現在の植物とほぼ共通する機能を備えることとなったのである。
    4. 動物は自ら栄養分を生産できないため、食物を取り入れ吸収しやすい形に消化・代謝して不要物を排出するという循環がみられる。これに必要とされるのが、口・食道・胃・肝臓などからなる「消化器官系」、腎臓・膀胱などからなる「排出器官系」、気管・気管支・肺からなる「呼吸器官系」、心臓・血管からなる「循環器官系」であり、これらを総称して植物性器官とも呼ばれている。さらに、動物は敵から身を守る・仲間と連絡しあう・子孫を残すなどのために運動する必要がある。これらのように植物にはなく動物のみが持つ構成を「動物性器官」と呼ぶのである。この器官は5感からなる各種の感覚受容器や神経および筋・骨格系から形成されている。これらを発達させていった古生代期の動物には、捕食性に優れるアノマノカリスやオパビニアといった肉食動物、現在のエビ及びカニの祖先であるとされるカナダスピスやわれら人類まではるか昔から繋がっている全ての脊椎動物の祖先であるとされるピカイアなどがみられる。前者のように他の生物を捕食して栄養とする肉食動物が現れたことで食物連鎖が発生し、それに伴い、先カンブリア期には数十種だった生物がカンブリア期には一万種ほどにまで爆発的に増加することとなったのである。
    5. 現在における生物のうち、人類は脊椎動物の進化過程を胎児のときに見ると同時に進化の歴史をたどって出生するという。それは卵子と精子から形成される単細胞動物の状態から始まり、約10億年前(妊娠4.5日)には多細胞動物、受精後20日を過ぎる頃には先カンブリア期に栄えたカイメンや腔腸動物などから原索動物に相当し、その後も約5億年前(妊娠約1ヶ月)には硬骨魚類に、約3.6億年前(妊娠34~36日)には両生類及び爬虫類のような姿へと進化していくのである。これとともに体の構造や機能も変化し、腎臓と骨は血液中の電解質を、脾臓は赤血球を調節するために発達していった。また、身体全体の骨格と筋肉が強化され歩行のための基盤が整えられると同時に、環境構成に関係なく体温を一定に保つことで常に活動可能となっていった恒温動物としての機能も獲得し、それまでの動物とは明らかに違いが見られることとなったのである。
     以上のように実に長い年月を経て生物は誕生から現在に至るまでの進化を遂げている。この進化の過程を無駄にせず、より地球を発展させることが人類に対し祖先が課した課題なのだと考える。

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