福祉・保健
(『社会教育・生涯教育ハンドブック』社会教育推進全国協議会編、エイデル研究所、2000年より)
第五編―10
1・要約
1990年代に入り、福祉と保健のあり方が大きく変わってきており、在宅福祉を中心としたシステムへの転換、医療・保健との連携などがめざされ、それらの活動が地域・自治体を中心に取り組まれるようになった。つまり、それまでの社会福祉制度が終戦直後の生活困窮者対策を前提としたものであるため、福祉を取り巻く現在の状況(少子・高齢化、家族機能の変化、国民意識の変化など)に充分な対応をすることが困難となり、社会福祉の抜本的な改革が必要とされたのである。その改革の基本的方向には、
サービスの利用者と提供者の対等な関係の確立
個人の多様な需要への地域での総合的な支援
幅広い需要にこたえる多様な主体の参入促進
信頼と納得が得られるサービスの質と効率性の向上
情報公開などによる事業運営の透明性の確保
増大する費用の公平かつ公正な負担
住民の積極的な参加による福祉の文化の創造
があり、このことをふまえて、「国民が自らの生活を自らの責任で営むことが基本」、「自らの努力だけでは自立した...