交通事故における起訴率は昭和62年以降低下し、平成12年には起訴率は12.9%になるに至った。この原因としては、国民皆免許時代となり自動車が大衆化したことで、国民多数が軽微な事案で刑罰を受けるべきではないとされたこと、刑事事件において無罪判決が相次いだことが挙げられる。
一方、交通違反についての起訴率は高く、よって人身事故については刑事責任を課さない傾向にあるということができる。
しかし、近年においては、運転免許取得者の増加に伴う必然的状況として、法遵守の精神が欠如した悪質な市民が増えてきた。このような市民は悪質な道路交通法違反を行い、さらには業務上過失犯罪という重大な結果を引き起こしかねない。さらに、被害者の厳罰化を求める運動の影響から、交通犯罪者においても厳罰化をなすべきであるという認識が高まった。
そこで、最近の交通犯罪に対する法的対応として、まず刑事処分においては危険運転致死傷罪(刑法208条の2)が創設され、危険な運転によって死亡事故を起こした者には、最大で懲役15 年が科せられることとなった。
さらに、行政処分については、道路交通法が改正され、死亡事故を起こした場合には原則として免許を取り消すことや酒気帯び運転による人身事故は免許取消の対象となるなどの厳しい対応がとられることになった。
賠償医学 小レポート3
1.以下のテーマについて論説せよ。
1)交通事故と交通違反の起訴率と最近の傾向
2)異状死体届出の義務について
3)同時死亡の推定と相続について
1.
1) 交通事故における起訴率は昭和62年以降低下し、平成12年には起訴率は12.9%にな
るに至った。この原因としては、国民皆免許時代となり自動車が大衆化したことで、国民多数
が軽微な事案で刑罰を受けるべきではないとされたこと、刑事事件において無罪判決が相次い
だことが挙げられる。
一方、交通違反についての起訴率は高く、よって人身事故については刑事責任を課さない傾
向にあるということができる。
しかし、近年においては、運転免許取得者の増加に伴う必然的状況として、法遵守の精神が
欠如した悪質な市民が増えてきた。このような市民は悪質な道路交通法違反を行い、さらには
業務上過失犯罪という重大な結果を引き起こしかねない。さらに、被害者の厳罰化を求める運
動の影響から、交通犯罪者においても厳罰化をなすべきであるという認識が高まった。
そこで、最近の交通犯罪に対する法的対応として、まず刑事処分においては危険...