従来の医薬品の開発は、採取したさまざまな細菌などの中から役立ちそうな候補を絞り込むという偶然発見的な方法や、それまでの医薬品開発の経験にしたがったやり方が主なものでした。
しかし、このような方法は膨大な時間・労力・費用がかかるものの効率が良いものではなく、また効能や副作用については、開発段階でさまざまな試験を必要としました。
このような方法に対し、ゲノム情報を活用し、医薬品を論理的・効率的に作り出すことをゲノム創薬と言います。ヒトゲノムの解読によってDNAの30億塩基対のほぼ全配列が明らかになり、ヒトの遺伝子が4万程度であることが判明した。そこから生成されるヒトのタンパク質は数十万種類あるといわれている。遺伝子がどんなタンパク質を生成し、どんな疾患に関わるかを知ることができたら、そのタンパク質を標的としてタンパクの生成を促進する薬物や逆に抑制する薬物を創製することができる。
個人間の塩基の並び方の違いは遺伝子多型といわれ、なかでも1つの塩基が置き換わっているものをSNPs(1塩基変異多型)という。このSNPsの違いによって体内で作られるタンパク質の量や機能が変わる。そのためSNPsは疾患に関わる遺伝子の探索やタンパク質の機能解析のための重要なツールである。遺伝子発現や遺伝子機能解析に有効な手段としてDNAチップを用いたものがある。これはある病態でどんな遺伝子が大量に発現しているかなどを調べるのに適した方法であるばかりでなく、このDNAチップの活用は薬剤酵素化合物の中から副作用の大きいものを取り除くなど創薬プロセスの効率化にもつながる。
ゲノム創薬のプロセス
解読された3-4万のヒト遺伝子について、塩基配列等により、類似している遺伝子に関してこれまで報告されている機能、生理活性等に関する全ての情報をコンピューターにより検索する。
従来の医薬品の開発は、採取したさまざまな細菌などの中から役立ちそうな候補を絞り込むという偶然発見的な方法や、それまでの医薬品開発の経験にしたがったやり方が主なものでした。 しかし、このような方法は膨大な時間・労力・費用がかかるものの効率が良いものではなく、また効能や副作用については、開発段階でさまざまな試験を必要としました。 このような方法に対し、ゲノム情報を活用し、医薬品を論理的・効率的に作り出すことをゲノム創薬と言います。ヒトゲノムの解読によってDNAの30億塩基対のほぼ全配列が明らかになり、ヒトの遺伝子が4万程度であることが判明した。そこから生成されるヒトのタンパク質は数十万種類あるといわれている。遺伝子がどんなタンパク質を生成し、どんな疾患に関わるかを知ることができたら、そのタンパク質を標的としてタンパクの生成を促進する薬物や逆に抑制する薬物を創製することができる。
個人間の塩基の並び方の違いは遺伝子多型といわれ、なかでも1つの塩基が置き換わっているものをSNPs(1塩基変異多型)という。このSNPsの違いによって体内で作られるタンパク質の量や機能が変わる。そのためSNPsは疾...