「子どもの個人差について述べよ。」
1.はじめに
「教育」という活動は、ある人々に対する働きかけであり、何らかの人間的成長を期待して行うものである。人間は、生まれたときには、他者の配慮無しには生きていくことはできない無力状態で生まれる。では、なぜ子どもの「個人差」は生じるのだろうか。以下では、発達、知能、性格、教育、遺伝と環境の観点から、子どもの個人差について考察することとする。
2.発達
発達は受胎の瞬間から始まり、死に至るまで続く。人間は常に変化する存在であり、連続的時間的経過の中で、生理的、身体的、精神的に大きく変化していく。また、発達の過程で、他者との関係のあり方や、ものの見方、考え方について、人としてよりよく生きていけるやり方を、教育などの経験によって変化させていくのである。つまり発達とは、連続的な過程で、有機体(人間)の心身に生じる量的質的変化のことである。発達的変化は平坦なものではなく、緩急のリズムや節目をもっている。発達の顕著な変化や一定の特徴を手がかりとして発達過程をいくつかの段階に分けたものを、発達段階という。
ピアジェは、子どもは環境に働きかけることによって...