(1)女性と職業をめぐる状況
1985年(昭和60年)に制定された男女雇用機会均等法、1997年(平成9年)に成立した改正男女雇用機会均等法により、女性と職業をめぐる状況は確実に変化してきている。特に改正均等法は非常に有効なものであり、これにより女性の社会進出も進んでいる。
例えば、改正均等法では募集・採用の際の男女差別は完全になくなったし、配置や昇進での差別も禁止された。
しかしこれはあくまでも表面上の平等にすぎない。実際にはコース別雇用管理を行っている企業がまだまだたくさんあり、特に従業員数5000人以上の大企業の51.9%がコース別雇用管理制度を導入している。(平成12年・厚生労働省「女性雇用管理基本調査」)コース別雇用管理制度は女性を総合職に配置しないための制度になっているのが現状なので、これでは女性差別が解消したとは言いがたい。また21世紀職業財団による「総合職女性の就業実態調査」(平成12年)では1企業当たりの総合職で働く女性は19.2人、総合職全体の3.5%と、まだまだ差別は残っていると言えるだろう。この調査の個人調査でも、女性総合職の半数が昇進や給与に男女差別があると考...