速度論的同位体効果
1.速度論的同位体効果
速度論的同位体効果は、化学反応において反応物の原子の1つを同位体で置き換えた場合に起こる反応速度の変化のことである。化学結合の生成・開裂に関与する部位の原子を同位体で置き換えると、反応速度は大きく影響を受ける。この速度変化は1次の同位体効果と呼ばれる。一方、置き換えが反応に直接関与しない部位で行われた場合の速度変化はより小さく、これは2次の同位体効果と呼ばれる。
2.重水素置換の例
C―H結合の開裂が律速段階であるような反応に対する重水素置換の効果を考える。図1は開裂する結合を重水素化したときの反応断面の変化を示したものである。この図において、反...