日本の製造業が戦後海外に進出した発展過程と、その背景及び原動力を明らかにする。
ここでは、発展過程を5つの段階に分けて説明していく。 まず、海外進出の第一段階は輸出から始まったといえる。ここでの生産要素は、国内に留めておき販売についても海外の代理店に委ねる形態で行われた。しかし、しだいに輸出の規模や海外マーケットに対する依存度が高まり、競争が激しくなって販売戦略を強化する必要がでてきた企業は第二段階に移っていったと考えられる。第二段階は、生産は国内で行いながら、販売網の充実、強化、関税対策やサービスの向上を図るために、輸出先国に組み立て、販売拠点を設立していったものである。そして第三段階では、販売拠点の設立だけでなく生産や技術開発の拠点についても海外移転を実施した。これにより、企業は安価な労働力や原材料の調達、輸送コストの節約、為替リスクなど事業リスクの分散、海外消費者のニーズに合わせた生産・技術開発が可能、などの利点が生まれた。海外進出の第四段階は、生産、販売、技術開発、資金調達機能など事業推進のために必要な経営資源をすべて移転する形態である。この段階では経営の権限もほとんど現地に移譲され、現地の状況変化に対して柔軟かつ迅速な対応が可能となった。そして、第五段階としてグローバルな戦略に基づく経営が実施されていった。この段階では第四段階で移転した経営資源が地球的なレベルで最適に配置されて、それぞれの拠点間において有効なつながりが確立している。例えば、ミックス生産販売や、相互乗り入れなど効率的な生産・販売・技術開発の体制が作られ、企業は国際企業として発展していったといえる。
日本企業の国際的展開
日本の製造業が戦後海外に進出した発展過程と、その背景及び原動力を明らかにする。
ここでは、発展過程を5つの段階に分けて説明していく。 まず、海外進出の第一段階は輸出から始まったといえる。ここでの生産要素は、国内に留めておき販売についても海外の代理店に委ねる形態で行われた。しかし、しだいに輸出の規模や海外マーケットに対する依存度が高まり、競争が激しくなって販売戦略を強化する必要がでてきた企業は第二段階に移っていったと考えられる。第二段階は、生産は国内で行いながら、販売網の充実、強化、関税対策やサービスの向上を図るために、輸出先国に組み立て、販売拠点を設立していったものである。そして第三段階では、販売拠点の設立だけでなく生産や技術開発の拠点についても海外移転を実施した。これにより、企業は安価な労働力や原材料の調達、輸送コストの節約、為替リスクなど事業リスクの分散、海外消費者のニーズに合わせた生産・技術開発が可能、などの利点が生まれた。海外進出の第四段階は、生産、販売、技術開発、資金調達機能など事業推進のために必要な経営資源をすべて移転する形態である。この段階では経営...