公務員の政治活動の自由はいかなる根拠によりどの程度制約されるか。郵便局員(国家公務員)による、選挙用ポスターの配布を禁止することは許されるのであろうか。
公務員も「国民」(第三章)である以上、政治活動の自由を有することには異論はない。もっとも、公務員は国会の制定した法律に忠実に従って職務を遂行せねばならず、かかる職務の中立性を確保する必要性は大きく、また、憲法が公務員関係の存在と自律性を憲法秩序の構成要素として認めている(15、73?)ことを鑑みれば、公務員の政治活動の自由を制約すること自体は妥当である。...
しかし、裁判所が、むやみに法令違憲判決をなせば、法的混乱を生じかねない。そして、民主的基盤を有する国会の判断は尊重されるべきである。また、我が国の違憲審査制は、当該事件の解決に必要である場合に限り憲法判断をするという付随的審査制であるから、その観点からは、ある法令が憲法上容認できない場合であっても、法令の規定それ自体を違憲とする法令違憲の方法を用いることなく、法令の規定が当該事件に適用される限りにおいて違憲とするという適用違憲の方法が可能であれば、それによるべきである。そこで、裁判所としては、まず、適用違憲の可否を検討すべきである。.....
レポート、法学、猿払事件、公務員の人権、公務員の政治活動の自由
猿払事件 論点の整理編
一 一般公務員の政治活動の自由の制約
公務員の政治活動の自由はいかなる根拠によりどの程度制約されるか。郵便局員(国家公務員)による、選挙用ポスターの配布を禁止することは許されるのであろうか。
公務員も「国民」(第三章)である以上、政治活動の自由を有することには異論はない。もっとも、公務員は国会の制定した法律に忠実に従って職務を遂行せねばならず、かかる職務の中立性を確保する必要性は大きく、また、憲法が公務員関係の存在と自律性を憲法秩序の構成要素として認めている(15、73④)ことを鑑みれば、公務員の政治活動の自由を制約すること自体は妥当である。
では、どの程度の制約...