企業における監査の役割は、会計監査により財務諸表に信頼性を付与し、企業の透明性を高めることで投資者への情報を提供するところにあると考えられる。
監査の品質の問題や会計情報の信頼性の問題は、基本的には市場に情報の不完備性が存在するために生じると言える。これが、「隠れた情報」の問題である。...........
経営者は、投資家が投資を選択したか否かを即座にに知ることができる。投資家は、その企業に投資するか否かを決定するが、経営者が努力を選択したか否かは事前には分からないである。投資家は、投資をするか否かを選択した直後に、企業の真の清算価値を知る。企業が高品質であったならば、清算価値は15となる。低品質であったならば清算価値は5である。投資家の報酬はその場合それぞれ5と-5となる。投資しなければ、損得ゼロである。監査の買えない市場では投資家には、経営者の経営している企業が高品質か低品質かを判断する目安は何も存在しないのである。.........
また、経営者が監査を受けるにはコストがかかる。そのコストは株主となった投資家に転換可能としも、まずは、投資家の投資がなければならない。経営者がまずコストを負担して監査を受けることは、自分の企業が高品質であることの証とも解釈できる。「逆選択」により低品質企業が溢れた資本市場で自分だけが高品質企業であることを示すには、投資家に1度投資を受け高品質企業の確認を得る以外に方法はない。...
経営者が一方的に情報優位に立っている資本市場おいて、経営者による情報開示は投資家から十分な信頼を得られないのである。このような場合、市場がレモン市場化し、取引が成立しなくなる危険性が指摘される。また、株式の持ち合いの解消が市場の活性化を促進する一方で、市場のレモン化にも繋がる恐れもある。
企業における監査の役割は、会計監査により財務諸表に信頼性を付与し、企業の透明性を高めることで投資者への情報を提供するところにあると考えられる。
監査の品質の問題や会計情報の信頼性の問題は、基本的には市場に情報の不完備性が存在するために生じると言える。これが、「隠れた情報」の問題である。「隠れた情報」がどのように市場を機能させなくなるかは「囚人のジレンマ」ゲームを応用して容易に示すことができる。一般財の市場では消費者はメーカーが売る製品の品質を事前に知るのは困難である。逆にメーカーは、自分が作った製品の品質を当然把握しているであろう。本来メーカーは高品質の製品を販売し、消費者はメーカーを信頼してそれを購入するという「囚人のジレンマ」ゲームにおける「相互強調」という選択肢が両者にとって最善である。ところが、両者は裏切りあって、「囚人のジレンマ」ゲームにおける利得ゼロを選択してしまうこともある。この結果、市場には英語でレモンと呼ばれる不良品か溢れ、消費者も購入をボイコットすると考えられる。
資本市場における経営者の情報開示の問題は、この消費者とメーカーの関係に類似したところがある。ここ...