芥川龍之介「藪の中」考察

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    芥川龍之介  『藪の中』
    Ⅰ、作者紹介
    芥川龍之介(あくたがわりゅうのすけ)  1892-1927
    1892年3月1日、東京府京橋入船町に新原敏三の長男として生まれる。辰年の辰日、辰時生まれだったことから、龍之介と命名される。生後まもなく、母親が精神を病んだので、母親の実家の芥川家に預けられる。10歳で母を失い、翌々年、腹違いの弟が生まれたのを機に、芥川家の養子となる。
    東京帝大英文科に進み、久米正雄、菊池寛らと知り、第3次「新思潮」に参加。漱石の知遇をえて、久米正雄とともに「木曜会」に通う。1916年、第4次「新思潮」創刊号の「鼻」が漱石の絶賛を受け、「新小説」に転載。一躍、文壇の寵児となる。同年、「ウィリアム・モリス研究」で卒業するが、12月、漱石の死に遇う。翌年、第一短編集『羅生門』を上梓。以後、死までの10年間に10冊の短編集とアフォリズム集『侏儒の言葉』、随想集『百艸』を刊行する。
    『今昔物語』や切支丹文書に材をとり、モーパッサンやストリンドベリの技法にならった完成度が高い短編を書いたが、皮肉な観察眼と遊び心、繊細な美意識は本で学べるようなものではなく、幼時から親しんだ江戸文...

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