「末期ケアの理念や現状を踏まえ、我が国の末期医療がどうあるべきか述べよ。」
人間は、いつか必ず死を迎える。単純に死と言っても人間の死には2つの局面があり、それは死ぬ本人と周囲の人達である。また、死に方にもさまざまなものがあり、自殺や事故死、心臓マヒなどの突然に死を迎える場合もあれば、ガンや病気、老衰死などによる死のように徐々に死を迎える場合もある。
突然訪れた死の場合、死ぬ本人の痛みや苦しみはほとんどないが、周囲の人や家族は心の準備ができていないため、その悲しみは非常に強く、死を受け入れることに時間がかかるのである。
徐々に死を迎える場合には、死ぬ本人も家族や周囲の人もさまざまな苦しみを経験するが、心の準備をする時間があるため悲しみはもちろんあるものの、突然の死のような激しい悲しみではないことが多い。そのため、比較的死を受け止めやすいといえる。しかし、実際に死を受け入れることは難しく、キューブラー・ロスは、人が安らかに死を迎えるためには周囲の人達による支援の必要性を説き、本人の心理状態を知る必要があるとしている。
その心理状態を5つに分けており、 ①否認、②怒り、③取り引き(自らが信じる神に)、 ④抑うつ、⑤受容としている。本人が現在その心理状態にあるかを自ら理解することは、本人が死の受容をしていく上で必要なこととされている。また、周囲の人達も本人の置かれている心理状態を理解し、死に対する恐怖を少しでも減らし、今生きていることに感謝して残りの人生をお互いに支えあい、死んでいく本人が安らかに人生を終えられるようにケアしていくことが大切である。
現在、日本の医療の世界では、ガンやエイズなどの病気にかかり、残された命があとわずかと診断された末期患者のみを対象として末期患者が安らかに死んでいけるように援助する末期医療(ターミナルケア)が行われている。この末期医療が目標とするのは、残された命があとわずかと診断されてから死ぬ瞬間までを、質の高い生き方ができるように援助することである。
現在の末期医療においては、ホスピスが注目されている。ホスピスとは、死に直面した患者が人間としての尊厳を保って、その人が十分に満足できる人生を全うするように援助する施設のことである。
ホスピスでは、積極的な手術・抗がん剤治療、放射線治療などにより、患者の命を少しでも延ばすことを目的にはしていない。ホスピスでは、命の長さではなく命の質を大切にしているのである。
また、患者や患者の家族に対するホスピスの役割には、次の3点があり、
痛みのコントロール
患者が病気によって受ける痛みを少なくする。痛みをコントロールすることは、患者が
尊厳をもって生きられることにつながる。
精神的援助
患者の話に耳を傾けることにより患者のニーズを知ることは、患者に対して精神的援助
を行う上で大切なことである。
患者の家族に対する援助
家族のしとりを失うということに対して、深い悲しみを背負っている家族に対する援助は大切である。ホスピスでは家族に対しても援助を行うが、悲しさを共に分かち合うことにより精神的に支えていく。患者と接する時間の多い家族を支えていくことは、患者を支えていくことにもつながる。
としている。
ホスピスが目指すものは、患者の人生を支えるということである。そして、我が国でのホスピスに対するニーズも次第に高まってきている。しかし、その一方では、「畳の上で死にたい」という意見も多くある。つまり、ターミナルケアと同時にインフォームド・コンセントを得ることも大切になってくる。
イン
「末期ケアの理念や現状を踏まえ、我が国の末期医療がどうあるべきか述べよ。」
人間は、いつか必ず死を迎える。単純に死と言っても人間の死には2つの局面があり、それは死ぬ本人と周囲の人達である。また、死に方にもさまざまなものがあり、自殺や事故死、心臓マヒなどの突然に死を迎える場合もあれば、ガンや病気、老衰死などによる死のように徐々に死を迎える場合もある。
突然訪れた死の場合、死ぬ本人の痛みや苦しみはほとんどないが、周囲の人や家族は心の準備ができていないため、その悲しみは非常に強く、死を受け入れることに時間がかかるのである。
徐々に死を迎える場合には、死ぬ本人も家族や周囲の人もさまざまな苦しみを経験するが、心の準備をする時間があるため悲しみはもちろんあるものの、突然の死のような激しい悲しみではないことが多い。そのため、比較的死を受け止めやすいといえる。しかし、実際に死を受け入れることは難しく、キューブラー・ロスは、人が安らかに死を迎えるためには周囲の人達による支援の必要性を説き、本人の心理状態を知る必要があるとしている。
その心理状態を5つに分けており、 ①否認、②怒り、③取り引き(...