幼児期とはその子どもの人間性や個性を育み、その基本が形成される最も大切な時期である。最近の研究の成果によると、幼児期の3歳頃からが、自発性や主体性・自律心を育てるための人生で最も大切な時期だとも言われている。
発達段階に応じた豊かな経験は、その後の成長の大切な土台となる。生活や様々な経験を通し、いろいろな面で急激に広がりを見せる時期である。更にこの時期には、自らの興味や欲求に基づいた直接的な経験を通し、人間形成の基礎となる豊かな心や、物事に自分から関わろうとする意欲、健全な生活を営む為に必要な態度や社会性なども同時に培われる。 つまり、この時期の教育とは、日常生活を通して周囲に存在するあらゆる環境からの刺激を受けとめ、自分からも興味をもって関わる事によって、様々な活動を展開し、子ども自身が充実感を味わえるという事が重要視されなければならない。重要になってくるのである。そこで、幼児指導の基本的な考え方について述べていくこととする。
幼稚園教育要領によると、幼稚園教育は、幼児期の特性を踏まえ、環境を通して行うものであることを基本としている。また、教師は幼児との信頼関係を十分に築き、幼児と共によりよい教育環境を創造するように努めるものとする。これらを踏まえ、教育を行わなければならない、としている。(注1)
また、重視する事項として大きく3つがあげられている。幼児の主体的な活動を促し、幼児期にふさわしい生活が展開されるようにすること、遊びを通しての指導を中心として、心身の健康に関する領域「健康」、人とのかかわりに関する領域「人間関係」、身近な環境とのかかわりに関する領域「環境」、言葉の獲得に関する領域「言葉」、感性と表現に関する領域「表現」の5領域に示すねらいが総合的に達成されるようにすること、幼児一人ひとりの特性に応じ、発達の課題に即した指導を行うようにすることである。(注2)この5領域は、それぞれが単独で発達、獲得されうるものではなく互いにかかわりを持ちながら偏らずに成長を遂げていく必要がある。
まず、幼児期の指導を考える場合には、この時期に身に付けておかなければその後の発達に何らかの影響を及ぼすという発達の適時性を考えることが非常に大切である。 例えば、幼児期には社会生活を営むために必要と考えられる基本的な生活習慣を身に付けることが求められ、また幼児の生活空間が家族から周囲の大人(保育者)や友だちという人間関係へと広がっていく中で、親から一時的に離れることに耐える力も求められる。さらに基本的な社会生活上のルールの理解や善悪の判断を身に付けるとともに、運動発達の面では「歩く・走る・跳ぶ・投げる」などの基本的な動作の習得が求められる。しかしながら、発達には個人差があることから固定的・短期的に発達の適時性をとらえるのではなく、流動的・長期的な見通しに立ってとらえていくことが大切であるといえる。
幼稚園教育では、幼児期にふさわしい環境を意図的に作り出し、その環境に幼児がかかわって生活する中で発達が促されなくてはいけない。直接的な指導ではなく、保育者の意図が環境にこめられ教育が行われているのである。幼児は、興味を持ったものに自分から働きかけて活動し、充実感を味わう体験をすることが、幼児の心身の調和の取れた発達を培うと考えられている。そのため、子どもたちへの指導は、遊びを通して行われ、遊びが幼児期特有の学習であるということを理解したうえで、幼児の成長や発達にとって重要な体験をさせることが必要となってくるのである。
様々な遊びを通して、幼児が自ら興味を持った
幼児期とはその子どもの人間性や個性を育み、その基本が形成される最も大切な時期である。最近の研究の成果によると、幼児期の3歳頃からが、自発性や主体性・自律心を育てるための人生で最も大切な時期だとも言われている。
発達段階に応じた豊かな経験は、その後の成長の大切な土台となる。今まで家庭において両親との関係を軸にして営まれてきた生活が、幼稚園という環境の中で、集団生活や様々な経験を通し、いろいろな面で急激に広がりを見せる時期である。更にこの時期には、自らの興味や欲求に基づいた直接的な経験を通し、人間形成の基礎となる豊かな心や、物事に自分から関わろうとする意欲、健全な生活を営む為に必要な態度や社会性なども同時に培われる。
つまり、この時期の教育とは、日常生活を通して周囲に存在するあらゆる環境からの刺激を受けとめ、自分からも興味をもって関わる事によって、様々な活動を展開し、子ども自身が充実感を味わえるという事が重要視されなければならない。そのため、幼稚園においては幼児指導が重要になってくるのである。そこで、幼児指導の基本的な考え方について述べていくこととする。
幼稚園教育要領によると、幼稚...