駅前の駐輪禁止の場所に自転車やバイクを置いていく人たちなど、挙げればきりが無いくらいである。このようなモラル低下に歯止めをかけるためには、幼少期にきちんと道徳性を身につけておく必要がある。
そこで、幼稚園においての道徳性の芽生えを培う効果的な指導のあり方について考察していく。
幼稚園教育要領解説によると、「幼児期は、社会生活において必要とされる自立と協同の態度及び道徳性などの芽生えを培う上で大切な次期であり、それらは生活の中で様々な人とふれあい、互いの感情や意思を表現したり、共感したりすることを通して培われるものである」(注1)とある。
幼児生涯を通じて必要な自立と協同の態度及び道徳性の芽生えを培う重要な時期である。幼児が人への愛情と信頼感をもつためには、まず親子のふれあいを深め、愛情あふれる家庭にしていくことが重要であり、幼児教育関係機関では、先生との信頼関係を築き、安心して自分の思いを出せるようにしていくことが必要である。幼児は、家族や先生に愛され温かく見守られているという安心感と人に対する信頼感に支えられて、自分自身の生活を確立していくようになる。
相手の気持ちに気付いたり、よいことや悪いことがあることに気付いたりしていくようになる。これらの経験が重なって自立と協同の態度や道徳性の芽生えが培われていく。そのためには、同年代の幼児同士の豊かなかかわりが大切である。その際、初めから友達と上手に付き合うことだけを目指すのではなく、自分のしたいことをしたり自己主張したりしながら、次第に相つようになり、一緒に遊ぶ楽しさやともに生活する喜びを感じるようになっていく。うれしい、悲しい、悔しいなどの感情を友達と共有することで一緒に活動する楽しさを感じ、ともに過ごす経験を重ねることで相手の考えを受け入れようとする気持ちが高まり、きまりやルールを守ろうとすること、みんなで使うものを大切にしようとする態度などを身に付けていく。友達とかかわる中でいざこざや葛藤を経験し、それを何とか解決しようと試みることは、自分と他人の気持ちが異なることに気付き、思いやりや善悪のとらえ方を発達させる重要な経験である。
幼児期は、自分の行動について客観的に考えることや、善悪の判断がまだできにくい時期であり、親や教師から認められたり、褒められたりするとよいことなのだと考え、逆に注意されたり、叱られたり、拒否されたりすると悪いことなのだと次第に知るようになる。したがって、教師は、家庭と連携しつつ、適切な援助を行うことが必要になる。幼児は、周りの大人のこうした様々な対応により、「してよいこと」「してはわるいこと」などを判断しながら学んでいく。幼稚園では、これら全体を踏まえて、好ましい道徳的な判断力や、善悪に対する好悪の感情の基盤となる道徳性の芽生えが培われるよう、繰り返し丁寧に指導することが重要なのである。
また、人間関係が希薄化していると言われている現在、高齢者をはじめとする地域の人々や障害者、小・中学生や高校生、外国人など、様々な人とのかかわりをもつことも、自立と協同の態度や道徳性の芽生えを培うためには重要である。さらに、間接的ではあるが、幼児を取り巻く家族の関係、保育者同士、保護者同士、保護者と保育者と高齢者や障害者なども含む地域の人々など大人同士が円滑な人間関係を築いていくことは、幼児にとってモデルとなり、人とかかわる力を育む上で重要である。
幼児は、集団生活の中で、遊び等を通じて、自分と他者の調和を図る態度や行動を次第に身に付けようとする姿を見せる。幼児が、家族や先生との信頼関係
近年、モラル低下が叫ばれている。平気で電車の入り口の床に座り込む学生たち、駅前の駐輪禁止の場所に自転車やバイクを置いていく人たちなど、挙げればきりが無いくらいである。このようなモラル低下に歯止めをかけるためには、幼少期にきちんと道徳性を身につけておく必要がある。
そこで、幼稚園においての道徳性の芽生えを培う効果的な指導のあり方について考察していく。
幼稚園教育要領解説によると、「幼児期は、社会生活において必要とされる自立と協同の態度及び道徳性などの芽生えを培う上で大切な次期であり、それらは生活の中で様々な人とふれあい、互いの感情や意思を表現したり、共感したりすることを通して培われるものである」(注1)とある。
幼児期は、他者の存在に気付き、かかわりを求め始める時期であり、生涯を通じて必要な自立と協同の態度及び道徳性の芽生えを培う重要な時期である。幼児が人への愛情と信頼感をもつためには、まず親子のふれあいを深め、愛情あふれる家庭にしていくことが重要であり、幼児教育関係機関では、先生との信頼関係を築き、安心して自分の思いを出せるようにしていくことが必要である。幼児は、家族や先生に愛さ...