エドガー・アラン・ポーとマーク・トウェインに
ついて述べよ。
エドガー・アラン・ポー(Edgar Allan Poe, 1809-1849)とマーク・トウェイン(Mark Twain, 1835-1910)は、19世紀に急成長したアメリカ文学を代表する二人である。
エドガー・アラン・ポーは19世紀の前半のアメリカ文学の中で、世界文学的なレベルで評価され、他国の文学に大きな影響を与えた。彼の偉業は大きく分けて、詩、批評、短編の3つに分類される。
ポーの詩は、彼の信じる美を追求するものである。彼の詩作における基調は、純然たる美を理想としていることであり、また天上の美に対する憧憬を満たすという点にある。また、詩が長すぎて中だるみする事を良しとせず、詩とは美の韻律的創造であるとした。14歳の頃に友人の母親に恋をした事を元に書かれた『ヘレンへ』(1831)では、神々しささえ漂うほどの美しい女性の姿を生き生きと描き出し、また『大鴉』(1845)は詩といいつつも物語的な一面を持ち、一人の男が恋人の死を悼み、彼女の美を理想化することにより、理想の美に伴う魂の高まりと霊的な深さを得る過程を描いた。ポーの妻であったヴァージニア・クレムを若くして亡くし、その切々とした思いを謳った『アナベル・リー』(1849)では、同じ言葉の繰り返しを嫌う事を承知で「アナベル・リー」や「海のそばの王国のこと」を何度も繰り返し、整理された言葉では言い尽くせない心の悲しみを表現している。
彼の評論は『創作理論』(1846)と『詩の原理』(1849)がある。『創作理論』ではいかに美を最高に表現するかについて、『大鴉』を分析する事で持論を展開し、韻律の面から、意味の面から、反復句の変化がどのように影響し、違う効果をあげるか、実例を『大鴉』より参照しながら述べている。『詩の原理』では、美に対する感動の緊張について述べ、詩はできるだけ短くすべきであり、詩の目的は知性や道徳から解放して美を鑑賞することだと主張した。倫理的な問題や教訓的な問題にまったく触れなかったため、当時のアメリカの批評家たちは彼のこの姿勢に大きな不満を示した。しかしフランスでは、彼の詩は純粋芸術、純粋詩の創始者として実際以上に高く評価され、ボードレールやマラルメなどフランス象徴派詩人に多大なる影響を与え、美の音楽的創造とする詩論は現代でも詩創造の基本的認識になっている。
彼の短編小説の大半は、『怪奇幻想物語集』と『短編集』にまとめられており、そのテーマは主に恐怖、美や詩情、推理の3つに分類される。彼は短編小説の中で人間のすさんでいく心の恐怖や、良心を悩ませるものの恐怖を卓越した技術で描きだしている。彼は、中世の象徴である古城や廃墟を人間の精神の深みを表わしたものととらえ、それを怪奇や恐怖という形を取り入れた心理ロマンスに発展させた。また、ゴシック小説を発展させ、推理小説という分野を拓いた最初の人物でもある。『アッシャー家の崩壊』(1839)は、中世趣味、煽情主義、超自然的恐怖のゴシック・ロマンス的要素をすべて取り入れた作品である。この他、ポーにはゴシック・ロマンスから発展した探偵小説があり、『モルグ街の殺人事件』(1841)、『マリー・ロジェの怪事件』(1842)、『盗まれた手紙』(1845)の三篇はいずれもパリを舞台とし、探偵デュパンが活躍する物語であるが、怪しい幻想の世界の中に、理路明快たる描写がほとばしる快作といえる。
マーク・トウェインは19世紀後半に活躍した。詩人ホイットマンと並び、最もアメリカ的な文
エドガー・アラン・ポーとマーク・トウェインに
ついて述べよ。
エドガー・アラン・ポー(Edgar Allan Poe, 1809-1849)とマーク・トウェイン(Mark Twain, 1835-1910)は、19世紀に急成長したアメリカ文学を代表する二人である。
エドガー・アラン・ポーは19世紀の前半のアメリカ文学の中で、世界文学的なレベルで評価され、他国の文学に大きな影響を与えた。彼の偉業は大きく分けて、詩、批評、短編の3つに分類される。
ポーの詩は、彼の信じる美を追求するものである。彼の詩作における基調は、純然たる美を理想としていることであり、また天上の美に対する憧憬を満たすという点にある。また、詩が長すぎて中だるみする事を良しとせず、詩とは美の韻律的創造であるとした。14歳の頃に友人の母親に恋をした事を元に書かれた『ヘレンへ』(1831)では、神々しささえ漂うほどの美しい女性の姿を生き生きと描き出し、また『大鴉』(1845)は詩といいつつも物語的な一面を持ち、一人の男が恋人の死を悼み、彼女の美を理想化することにより、理想の美に伴う魂の高まりと霊的な深さを得る過程を...