「国際協力法」レポート
「日本の ODA 腐敗の根本原因」
1、はじめに
日本は今年、終戦から57年目を迎えた。日本全土が焦土と化し、国家体制も経済基盤
も何も持たなかった終戦から半世紀経った現在、日本は世界の経済大国となった。国民一
人当たりの GNP は常に世界トップクラスに入る国へと変貌を遂げた。
今からわずか50年前、日本は地下資源すら持たない最貧国であった。多くの国々から
さまざまな支援を受けて、主権国家となった。高度経済成長を遂げ、日本は大量生産・大
量消費の資本主義の甘い蜜を謳歌した。やがて、物質的充足は当然のものと考えられ、貧
困とは「物質的欠乏」であり、「豊かさ」とは「消費すること」と意識されるようになった。
こうした国に生きる私たちが、50年前に受けた恩恵に報いるには、世界に対してどの
ような働きかけをなすべきか、またはなさなければならないかという観点から、日本の ODA
の現状と問題点を探りたい。
2、日本のODAの実態
日本は、長年、対 GNP 比で世界最高の ODA 拠出を行って来た。名目上はアメリカに次
ぐ世界第2位であったが、アメリカは拠出を約するのみで、実際に援助に投じた額では、
日本が世界最高であった。しかし、日本が行う援助のほとんどが「2国間援助」と呼ばれ
るもので、援助の形態も「無償援助」と標榜しつつ、返還を要する「貸与(円借款)」の
形態がとられている。
「2国間援助」の問題点は、援助する側と援助を受ける側が直接に交渉を行うため、立
場的に絶対優位にある援助国の都合のいいように、援助の内容や形態が決定されてしまう。
そのため、被援助国が真に希望する形での援助が実現しないということにある。また、援
助を「貸与」という形で行うことは、資本主義社会で強力な「円・¥」を膨大な額貸し付
け、「カネ」によって途上国を自らの支配下に招き入れるような現象をもたらすことにな
る。このように、自国の価値観や経済体制を押し付けるような日本の ODA 政策によって、
被援助国の人々は様々な弊害を被っている。その現状について検討したい。
(1)クドゥン・オンボ
インドネシア中部のジャワ州でのダム建設(潅漑、発電、洪水制御、飲料・工業用水、
観光目的)はクドゥン・オンボといわれる。このプロジェクトの内容は、総経費 2 億 8310
万ドルのうち、世界銀行が 1 億 5600 万ドルを、日本輸出入銀行が 5000 万ドルを融資する。
建設受注会社は間組、ブランタス・アビプラヤ社である。
このプロジェクトによって、建設予定地域に該当した 37 か村が水没し、5390 世帯(2 万
3380 人)が立ち退きを迫られたという事実がある。また、1500 世帯(7000 人)が残留し
ていたのにもかかわらず、ダムの貯水を開始した。つまり、人命を犠牲にしてまでも、開
発を行ったということだ。この事態に対し、住民たちは、現在も抗議活動をしているとい
う。また、開発にかかる費用として拠出された、輸銀の 5000 万ドルの使途が不明であり、
開発に絡んで、莫大な利益を不当に手にしている者の存在を窺がわせるが、その真相は究
明されていない。
(2)フィリピンの国際貿易港建設
「ODAは第二の侵略だ。我々の軍隊を使って日本は経済的に侵略している」と述べた
のはフィリピンのある女性である。彼女は自分の家を「港を作るから」という理由でフィ
リピンの軍隊によって壊された。港のための資金はODAから来る。(フィリピンバカンダ
ス市サンタクラ
「国際協力法」レポート
「日本の ODA 腐敗の根本原因」
1、はじめに
日本は今年、終戦から57年目を迎えた。日本全土が焦土と化し、国家体制も経済基盤
も何も持たなかった終戦から半世紀経った現在、日本は世界の経済大国となった。国民一
人当たりの GNP は常に世界トップクラスに入る国へと変貌を遂げた。
今からわずか50年前、日本は地下資源すら持たない最貧国であった。多くの国々から
さまざまな支援を受けて、主権国家となった。高度経済成長を遂げ、日本は大量生産・大
量消費の資本主義の甘い蜜を謳歌した。やがて、物質的充足は当然のものと考えられ、貧
困とは「物質的欠乏」であり、「豊かさ」とは「消費すること」と意識されるようになった。
こうした国に生きる私たちが、50年前に受けた恩恵に報いるには、世界に対してどの
ような働きかけをなすべきか、またはなさなければならないかという観点から、日本の ODA
の現状と問題点を探りたい。
2、日本のODAの実態
日本は、長年、対 GNP 比で世界最高の ODA 拠出を行って来た。名目上はアメリカに次
ぐ世界第2位であったが、アメリカは拠出を...