沈黙の春

閲覧数2,839
ダウンロード数24
履歴確認

    • ページ数 : 2ページ
    • 全体公開

    資料の原本内容

    「社会科学の名著を読むⅠ」三重大学人文学部 2003 年度特殊講義B
    櫻谷勝美
    第 1 回 レイチェル・カーソン (1907-1964)
    『沈黙の春』新潮文庫版 1974 、 原著 ”Silent Spring”1962
    目次
    1. 明日のための寓話
    2. 負担は耐えねばならない
    3. 死の霊薬
    4. 地表の水、地底の海
    5. 土壌の世界
    6. みどりの地表
    7. 何のための大破壊?
    8. そして、鳥は鳴かず
    9. 死の川
    10. 空からの一斉爆撃
    11. ボルジア家の夢をこえて
    12. 人間の代価
    13. 狭き窓より
    14. 四人にひとり
    15. 自然は逆襲する
    16. 迫り来る雪崩
    17. 別の道
    <地球に生命が誕生して以来 19 世紀まで>
    1. 環境 ⇔ 生命 の相互作用において環境の方が生命 (植物、動物)の形態や習性を作り
    上げてきた。
    2. 生命は環境に適合し、生命と環境に均衡ができてきた。
    <20C になって>
    1. 人間が恐るべき力を手に入れて自然を変えようとしている。(14)
    人間は自分のことしか考えず先を急ぐ。
    2. 農業は原始的な段階では害虫は問題にならないが、ある作物だけを集中的に栽培すると自然
    のバランスが崩れ害虫が異常に発生(いろいろな作物があれば害虫の異常な発生はなかった
    が、たとえば小麦ばかり作ると小麦の害虫が異常に増える)。
    また品種改良でその作物の一部だけを肥大化させると弱くなり雑草に駆逐される→そのため
    に農薬が必要になる。
    植物を輸入すると天敵が居なくなるある種の昆虫が異常に増える。→農薬
    3. 化学薬品(特に農薬)と核実験により空気、大地、河川、海洋が汚染されただけでなく、汚
    染は生命の細胞を変化させた。
    4. 人間は、害虫を駆除するために自分自身を破滅させようとしている。
    =自然防護力を弱める
    =化学薬品が人間の身体に蓄積されている。第二次大戦のための化学戦→戦争が終わって、化学
    薬品の殺虫力が利用されるようになった。
    1
    2
    DDT の殺虫力→殺虫剤の残存が母乳に→肝臓を壊す
    5. 地下水に化学薬品が入り込む。土の中の微生物が死滅する
    6. 害虫の駆除は必要だと認めるが、コントロールが必要である。(19)
    7. 植物は、生命のネットワークの一つ
    草木と土、草木相互、草木と動物との間に切り離せないつながりがある。
    →風土を作っている。
    薬品を大量に撒布すると、野生動物がいなくなる。
    たとえばニレの木に害虫→DDT 撒布→土壌汚染→ミミズ体内に DDT 蓄積→コマドリが死滅
    8. 化学薬品の大量撒布は害虫だけでなく、人間に有用な動植物を死滅させる
    直に毒に倒れるだけでなく、死が死を呼ぶ。
    9. 不都合なものがあるとすぐに皆殺しをしたがる人間
    10. 人間は発癌物質を作り出したくせに、自分自身では手に負えなくなった。
    癌が発症するまで 15 年から 30 年の潜伏期
    癌になるかも知れない物質をばら撒いて平気でいる人間
    11. 川から魚、森から鳥が姿を消したあと人間だけが安全地帯に逃げ込めるだろうか?
    12. 経済性による生態系の変化、杉・ヒノキの植林、ゴルフ場
    13. 化学物質による生物の影響は原因と結果が見た目に関係がすぐにはわからない。
    14. 一度薬品で害虫を駆除すると止めると不安になって止められない(298)
    15. 化学会社が大学に資金援助→著名な昆虫学者までが化学薬品を擁護
    16. 化学薬品により弱い昆虫が死に絶え、耐性を獲得した強い昆虫が生き残る→化学薬品が効か
    なくなる→絶えず新しい化学薬品が必要になる(317)
    17. 自然を自由に作り替えることができるという考え
    =自然は人間に役立つために存在すると言う考え
    or
    自然相互の関係を守り育てようという考え
    ―――――――――――――――――――――――――
    レイチェル・カーソンのその他の著書
    1 失われた森 レイチェル・カーソン遺稿集 集英社 2000/01
    2 センス・オブ・ワンダ- 新潮社 1996/07
    3 海辺- 生命のふるさと 平河出版社 1987/09
    レイチェル・カーソン研究書
    1 レイチェル-『沈黙の春』の生涯 リンダ・リア 東京書籍 2002/08
    2 「環境の世紀」へ - いまレイチェル・カ-ソンに学ぶ レイチェル・カ-ソン日本協会 かもがわ出版
    1998/11
    3 科学者レイチェル・カ-ソン 小手鞠るい 理論社 1997/11

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。