「いじめを考える全校集会」の取り組みから
「構成的グループ・エンカウンター:友達内観」の手法を導入して
要約
本校では、「いじめを考える全校集会」を持ち、いじめをなくす取り組みを行ってきた。いじめを根絶するためには、いじめを生み出す要因となっている、学級の人間関係を体験的に改善する必要があると考えられる。「構成的グループ・エンカウンター:友達内観」は、過去における「友人に対する自分の姿」を深く見つめさせる手法である。この内観を体験することで、友達への感謝の気持ちが生じ、友達や自分の見方が変化し、さらに、仲間同士の信頼を深め、人間関係をより良くすることができると考えられる。そこで、過去3年間の「いじめを考える全校集会」を整理し、その成果を確認する一方、今年度の集会後、3年生のある学級において実施した「友達の内観」の授業がいじめの根絶のためにどの様な効果をもたらすかを検証した。
「いじめを考える全校集会」の前後に実施した「いじめられ体験アンケート」の結果を比較すると、その数が著しく減少し、同時に実施した学級生活満足度尺度の結果も大きく向上した。さらに、「友達内観」の授業を体験したクラスの方が、学級生活満足度尺度の向上の度合いが顕著であるという結果を得た。また、「友達内観」の授業を実施したクラスでは、内観の実施前と後に心理テスト(自尊感情、STAI①)をおこなったが、内観の実施後、自尊感情が向上し、不安を感じる度合いが低くなるという結果を得た。授業後、生徒は「友達のありがたさを深く考えさせられた」等の感想を述べ、「友達内観」の授業が、学級における人間関係の改善に大きく寄与することが確認できた。
全校挙げて取り組んだ「いじめを考える全校集会」の実施は、生徒にとって、学校生活を見直す良い機会となり、いじめについて意識させ、いじめの防止に大きな効果があったといえる。さらに、「友達内観」の授業で、生徒は自分を支えてくれた友達の存在を再認識し、学級における人間関係の絆を深め、人間関係の改善に大きく役立ったといえる。以上のことから、このプログラムが「心の教育」として有効であったと言えるであろう。
1 はじめに
人と人の結びつきが希薄になり、急速に「デジタル化」をとげていく現代社会に生きる子供達は、急激な社会や生活の変化の負の部分をまともに背負い込んでいると言えよう。現代の子供は、基本的な生活習慣や根気強さ、責任感、自制心、勤労精神などが劣っていると評価され、「心の教育」「生き方の教育」「体験的学習」が緊急の教育テーマとなっている。いじめは、まさに、現代を映し出す社会現象と考えられ、「コミュニケ-ション不足」「人間関係の希薄さ」に起因したものであるといえる。
本校では、「いじめを考える全校集会」を持ち、いじめをなくす取り組みを、全校挙げておこなってきた。3年間の取り組みで、「いじめはいけないもの」と生徒に理解させることはできたが、いじめの根絶までには至っていない。生徒一人ひとりの心に深く浸透させ、いじめを生み出す要因となっている「学級の人間関係を体験的に改善する」ことが課題となっている。
「構成的グループ・エンカウンター:友達内観」は、過去における「友人に対する自分の姿」を深く見つめさせる手法である。①友達にしてもらったこと、②友達にして返したこと、③迷惑をかけたこと、の3点から内観を体験することで、友達への感謝の気持ちが生じ、友達や自分の見方が変化する。さらに、仲間同士の信頼を深め、人間関係をより良くすることができ、ひいては、いじめを生み出す要因となっ
「いじめを考える全校集会」の取り組みから
「構成的グループ・エンカウンター:友達内観」の手法を導入して
要約
本校では、「いじめを考える全校集会」を持ち、いじめをなくす取り組みを行ってきた。いじめを根絶するためには、いじめを生み出す要因となっている、学級の人間関係を体験的に改善する必要があると考えられる。「構成的グループ・エンカウンター:友達内観」は、過去における「友人に対する自分の姿」を深く見つめさせる手法である。この内観を体験することで、友達への感謝の気持ちが生じ、友達や自分の見方が変化し、さらに、仲間同士の信頼を深め、人間関係をより良くすることができると考えられる。そこで、過去3年間の「いじめを考える全校集会」を整理し、その成果を確認する一方、今年度の集会後、3年生のある学級において実施した「友達の内観」の授業がいじめの根絶のためにどの様な効果をもたらすかを検証した。
「いじめを考える全校集会」の前後に実施した「いじめられ体験アンケート」の結果を比較すると、その数が著しく減少し、同時に実施した学級生活満足度尺度の結果も大きく向上した。さらに、「友達内観」の授業を体験したクラス...