1・個別援助技術(ケースワーク)の歴史的展開
ケースワークの歴史の始まりは、1870年代、イギリスの慈善組織協会(以下COSという)に所属する友愛訪問員が担当する小地域内の要救護者を訪問し、生活相談とともに救済活動を行なったことにある。その後のCOSの活動は、アメリカにおいても受け入れられるとともに、多くの実践活動を展開した。1889年よりCOS運動に従事していたM・リッチモンドは、1917年に『社会診断』を、更に1922年には『ソーシャル・ケースワークとは何か』を著し、ケースワークを最初に体系づけた。同女史は『社会診断』において、クライエント(援助を必要とする対象者)の持つ問題を、収集した基礎資料科学的に分析し、客観的に解釈を加え診断する方法をとった。また『ソーシャル・ケースワークとは何か』においては、個人的援助の基本的枠組みに医学をモデルにした「診断」と「治療」の概念をとり入れ、ケースワークを科学的・専門的水準に高めようと努力した。
1992年に始まった世界的経済恐慌は、アメリカにおいて多くの失業者や貧困者を生み、彼らの救済には所得保障としての公的扶助が制度化された。その為もあって、COSに代わって発展した家庭福祉協会の援助機能は、もっぱら当時浸透していた精神分析学の影響を受けて、家族関係を中心とした個人や家族の人間関係の調整に、援助の主力が注がれるようになった。
個別援助技術(ケースワーク)の理論と内容について述べなさい。
1・個別援助技術(ケースワーク)の歴史的展開
ケースワークの歴史の始まりは、1870年代、イギリスの慈善組織協会(以下COSという)に所属する友愛訪問員が担当する小地域内の要救護者を訪問し、生活相談とともに救済活動を行なったことにある。その後のCOSの活動は、アメリカにおいても受け入れられるとともに、多くの実践活動を展開した。1889年よりCOS運動に従事していたM・リッチモンドは、1917年に『社会診断』を、更に1922年には『ソーシャル・ケースワークとは何か』を著し、ケースワークを最初に体系づけた。同女史は『社会診断』において、クライエント(援助を必要とする対象者)の持つ問題を、収集した基礎資料科学的に分析し、客観的に解釈を加え診断する方法をとった。また『ソーシャル・ケースワークとは何か』においては、個人的援助の基本的枠組みに医学をモデルにした「診断」と「治療」の概念をとり入れ、ケースワークを科学的・専門的水準に高めようと努力した。
1992年に始まった世界的経済恐慌は、アメリカにおいて多くの失業者や貧困者を生み、彼らの...