地球温暖化問題に対する取り組み
02E168 須藤 祐一
はじめに
現在私たちはさまざまな環境問題に直面している。その中でも地球温暖化は最も影響の広がりが大きく、その原因も現代社会の経済活動や私たちの日常生活すべての側面にかかわるものである。それだけに地球温暖化は、二十一世紀の人類が真剣に取り組むべき最も真剣な問題であると言える。
ところが、私たちは、地球温暖化問題の直接的影響は先のことと思い、どうしても対策をとるのが遅くなってしまいがちである。しかし被害が現実化した段階では、すでに二酸化炭素などの温室効果ガスが大気中に溜まってしまっているので、対策をとる余地が乏しくなり、しかも費用も増大なものになってしまう。したがって、先を見通した対策が必要となる。また、世界的に対策をとる場合には、先進国だけでなく開発途上国とも協力して進める必要があり、各国の公平な役割分担をどのように決めるかという難しい課題も生じるのである。こうした意味で地球温暖化の解決には、まさに私たち人類の英知が問われているのである。ここでは、地球温暖化の仕組み、国際的取り組みの流れ、対策、そして私たちの生活との関わりについて考察していこうと思う。
2.地球温暖化の原因
地球温暖化の主な原因は、人間の活動により排出される二酸化炭素をはじめとする各種の温室効果ガスと呼ばれる物質が大気中に蓄積され、長期間滞留することにある。化石燃料の消費などによる二酸化炭素の排出量の増加と、二酸化炭素を固定する森林の破壊などによる二酸化炭素の吸収源の減少とによって温室効果ガスの蓄積が進行するというダブル蓄積の現象が進行する。温室効果ガスとは、二酸化炭素、メタン、フロン、亜酸化窒素などであり、人間の生産活動が日々拡大し、その拡大に伴い、エネルギー消費が増加し発生していった。その発生原因は、石油、石炭などの化石燃料の燃焼である。また温室効果ガスの割合をみると、産業革命以前においては、二酸化炭素が280ppmv(ppmvは濃度を測る単位で1ppmvは体積比で100万分の1だけ含まれていることを指す)、メタンが0.70ppmv、亜酸化窒素が0.275ppmv程度であったと考えられているが、1992年の段階では、二酸化炭素が360ppmv、メタンが1.72ppmv、亜酸化窒素が0.31ppmvと急増している。よって1980年から1990年の主な温室効果ガス別の割合は、二酸化炭素が60%、メタン15%、亜酸化窒素6%、フロン11と12で合計17%となる。これを見ても二酸化炭素が大部分を占めている。二酸化炭素はあらゆるところから発生する。つまり、日常生活でのエネルギーはもちろんのこと、製品の製造、自動車、電車などの運行、人々のオフィス、学校での生活、ごみの処理などの人々の生活、生産活動のあらゆる場面から二酸化炭素が排出される。家庭で電力やガスなどのエネルギーを使用することにより排出される二酸化炭素は、1994年度(平成6年度)実績で日本の全排出量約3億4300万トンのうち約12.5%を占めている。
とはいっても産業革命前までは二酸化炭素の数字だけでも280ppmv程度で安定していたが、1750年ごろに始まった産業革命以来、石油や石炭などの大量消費や森林伐採などにより、大量の温室効果ガスが大気中に排出され自然のバランスが崩れてきた。
このような人間活動による温室効果ガス排出の増加によって、大気中の温室効果ガス濃度が増加し、温室効果が強くなることで引き起こされる気温の上昇を「地球温暖化」と言う。
温室効果ガスの増加によっ
地球温暖化問題に対する取り組み
02E168 須藤 祐一
はじめに
現在私たちはさまざまな環境問題に直面している。その中でも地球温暖化は最も影響の広がりが大きく、その原因も現代社会の経済活動や私たちの日常生活すべての側面にかかわるものである。それだけに地球温暖化は、二十一世紀の人類が真剣に取り組むべき最も真剣な問題であると言える。
ところが、私たちは、地球温暖化問題の直接的影響は先のことと思い、どうしても対策をとるのが遅くなってしまいがちである。しかし被害が現実化した段階では、すでに二酸化炭素などの温室効果ガスが大気中に溜まってしまっているので、対策をとる余地が乏しくなり、しかも費用も増大なものになってしまう。したがって、先を見通した対策が必要となる。また、世界的に対策をとる場合には、先進国だけでなく開発途上国とも協力して進める必要があり、各国の公平な役割分担をどのように決めるかという難しい課題も生じるのである。こうした意味で地球温暖化の解決には、まさに私たち人類の英知が問われているのである。ここでは、地球温暖化の仕組み、国際的取り組みの流れ、対策、そして私たちの生活との関わりについて考察していこうと思う。
2.地球温暖化の原因
地球温暖化の主な原因は、人間の活動により排出される二酸化炭素をはじめとする各種の温室効果ガスと呼ばれる物質が大気中に蓄積され、長期間滞留することにある。化石燃料の消費などによる二酸化炭素の排出量の増加と、二酸化炭素を固定する森林の破壊などによる二酸化炭素の吸収源の減少とによって温室効果ガスの蓄積が進行するというダブル蓄積の現象が進行する。温室効果ガスとは、二酸化炭素、メタン、フロン、亜酸化窒素などであり、人間の生産活動が日々拡大し、その拡大に伴い、エネルギー消費が増加し発生していった。その発生原因は、石油、石炭などの化石燃料の燃焼である。また温室効果ガスの割合をみると、産業革命以前においては、二酸化炭素が280ppmv(ppmvは濃度を測る単位で1ppmvは体積比で100万分の1だけ含まれていることを指す)、メタンが0.70ppmv、亜酸化窒素が0.275ppmv程度であったと考えられているが、1992年の段階では、二酸化炭素が360ppmv、メタンが1.72ppmv、亜酸化窒素が0.31ppmvと急増している。よって1980年から1990年の主な温室効果ガス別の割合は、二酸化炭素が60%、メタン15%、亜酸化窒素6%、フロン11と12で合計17%となる。これを見ても二酸化炭素が大部分を占めている。二酸化炭素はあらゆるところから発生する。つまり、日常生活でのエネルギーはもちろんのこと、製品の製造、自動車、電車などの運行、人々のオフィス、学校での生活、ごみの処理などの人々の生活、生産活動のあらゆる場面から二酸化炭素が排出される。家庭で電力やガスなどのエネルギーを使用することにより排出される二酸化炭素は、1994年度(平成6年度)実績で日本の全排出量約3億4300万トンのうち約12.5%を占めている。
とはいっても産業革命前までは二酸化炭素の数字だけでも280ppmv程度で安定していたが、1750年ごろに始まった産業革命以来、石油や石炭などの大量消費や森林伐採などにより、大量の温室効果ガスが大気中に排出され自然のバランスが崩れてきた。
このような人間活動による温室効果ガス排出の増加によって、大気中の温室効果ガス濃度が増加し、温室効果が強くなることで引き起こされる気温の上昇を「地球温暖化」と言う。
温室効果ガスの増加によって自然の生態系や人間社会に大きな影響をもたらすと予測されるが、では実際にどのような影響が起こるか見てみる。
地球温暖化による深刻な影響
たとえば、影響の一つに気候変動の問題が考えられる。地球規模の平均気温の上昇は海面の上昇を引き起こし、生態系、特に水域生態系への影響が大きく、気候変動ダメージが大きくなると考えられる。人類の生活に関しては、沿岸部の水没が起こり、特に水産業への影響が甚大なものになるものと考えられる。また、平均気温の上昇は、陸域の気候区分に変化をもたらし、その結果、生態系に関しては、温暖化による新たな機構環境へ生態系の適応(特に植物の適応)が追いつけないという現象が起こる。そして多くの種の動植物の絶滅が考えられる。急激な温度上昇に植生が追いつけず、生態系が破壊され、或いは乾燥によって森林火災が多発し、野生生物の種が絶滅したりすることが考えられる。植物は繁殖によって移動するため、移動速度の小さい種は気温上昇や南方や低地からの多種の追い上げにより、消滅する可能性がある。現在の日本においては市町村域、農耕地、自動車道、人工林などが植生を切り離しているため、一般的な植物であっても、移動の経路を確保することは簡単ではない。森林面積の40%が、人工林と化した現状では、温暖化によって絶滅する種が6000年前に起こった種の移動に比べ、大きくなると予想される。人類だけに限っても地球の砂漠化、農林業への影響、居住環境の悪化などが心配される。
つぎに温暖化により氷河の一部が融けて海に流入することと、海水自体の熱膨張によりその体積が増えるため、海水面が上昇すると考えられる。水面が上昇しても、沿岸部の水没などの人類などへの影響、臨海部の水域の生態系への影響がでると考えられる。
また気候変動スピードが速くなると、気候変動の振幅が大きくなると言われている。具体的に、極端な暑さと寒さのサイクルが生じ、局地的な豪雨や暴風雨、熱波、寒波などの異常気象といわれる極端な気象現象が起きる頻度が高くなる。その結果、生態系や人間活動に大きな被害が及ぶと考えられる。
たとえ地球温暖化が十分ゆっくりと進行し、世界の国々や諸地域の資源、農林業、水産業、人々の移住環境、経済活動などあるいは生態系への影響が少なかったとしても、農業に適する気候帯が他国に移ったり、自国が砂漠ばかりになってしまう国もでてくるはずである。ここで、どのようなことをしていけばいいかを考えてみる。
たとえば、資源の代替を考えてみる。同じエネルギーを得るのに、発生する二酸化炭素の量は違う。石炭を1とすると石油は0.58、天然ガスは0.44で、燃料を石炭から天然ガスに転換するだけで約56%の二酸化炭素削減が可能になる。しかし石油や天然ガスの採掘可能な量は、石炭が数百年分、石油や天然ガスは数十年分程度と言われており、仮にエネルギー需要をすべて天然ガスに切り替えたとすると十数年で使い果たしてしまうと計算される。
地球温暖化問題への国際的取り組み
●京都議定書まで
ここで世界各国で議論されている地球温暖化に対する取り組みについて見てみる。地球温暖化への取り組みについてまず、1992年にブラジルで開催された地球サミットにおいて、世界各国が地球温暖化対策に最大限の努力をすべく「気候変動に関する国際連合枠組み条約」への署名が開始され、1994年に発行された。さらに世界各国が協調して地球温暖化防止への取り組みを進めるために1997年に開催された「気候変動枠組み条約第3回締結国会議(COP3)」において京都議定書が採択されて、各国ごとに温室効果ガス排出量の削減目標が定められた。下の図が各国の温室効果ガス排出量の削減目標をまとめたものである。
国名 削減目標 (1990年の排出量を基準) EU15ヶ国、チェコ、エストニア、ラトビア、リヒテンシュタイン、リトアニア、モナコ、ルーマニア、スロバキア、スロベニア、スイス -8% アメリカ -7% 日本、カナダ、ハンガリー、ポーランド -6% クロアチア -5% ニュージーランド、ロシア、ウクライナ 0 ノルウェー +1% オーストリア +8% アイスランド +10%
この数字は1990年時点での温室効果ガス排出量が基準となっている。つまり日本の場合は1990年の二酸化炭素排出量の6%に相当する量を削減しなければいけないことになる。またこの削減の目標期限は2008年から2012年までである。
そして平成17年2月16日に京都議定書が発効された。これには世界最大であるアメリカや、中国などの途上国が削減義務を負っておらず、世界の二酸化炭素の総排出量の1/3しかカバーされていないので、世界各国の参加の下、真に実効性のある枠組みの構築が望まれる。
また日本国内を見てみると2003年度の日本の二酸化炭素排出量は、その半分を占める産業界については、削減目標に対して0.6%削減するなど着実に成果を挙げてきているが、民生部門が+34.1%、運輸部門が+19.8%の大幅な増加により、日本トータルでは+8.3%となっている。
このような状況を踏まえると、京都議定書に記されている各施策を行政が先頭に立って国民・企業・政府が主体的に推進していくことが必要である。クールビズなどは国民の温暖化に対する意識を高める有効な効果である。
<京都議定書>
●京都メカニズム
地球温暖化防止のための度重なる協議の結果、京都議定書は発効されたのであるが、その中でも先進国が目標を達成する際に、国際的な仕組みを通じてより費用効果的に目標達成しやすくするために柔軟措置が認められたものがある。それを「京都メカニズム」と呼んでいる。
では、京都メカニズムとは何かというと主に3つの手法から成り立っている。
共同実施
先進国同士が共同で排出削減や吸収のプロジェクトを実施し、投資国が自国の数値目標達成のために、その排出量削減単位をクレジットとして獲得することができる仕組みである。
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