福祉国家とはなにか、テキストの内容を要約したうえで、日本における今後の福祉政策のありかたについて、考えを述べなさい。
福祉国家の定義は研究者によって様々であるが、共通していることがある。「さしあたり社会保障を不可欠の一環として定着化させた現代国家ないし、現代社会の体制を指す。」ということだ。
また、福祉国家の本格的スタートに関して加藤栄一はこう話している。
福祉国家とは、労働者階級の政治的、社会的、経済的同権化を中核にして形成され、全国民的な広義の社会保障制度を不可欠の社会保障制度とする、現代資本主義に特徴的な国家と経済と社会の関係を表現する用語である。その生成の端緒は前世紀末のいわゆる大不況期まで遡るが、福祉国家が飛躍的な発展の基礎を形成したのは、第一次世界大戦から第二次世界大戦直後にいたる激動の30数年間においてであり、戦後の高度成長期にそれは全面的に開花し、そして結実した。(財政調査会編 1975,p.55)
実際に社会保障給付費の対国民所得比の割合で比較すると、1960年度には5%弱に過ぎなかったが、1976年度に10%を超えた後も増加を続け、2004年度には24%に達し...