無料で見れます! 東京福祉大学 心理学的支援法(基礎)A評価 設題:カウンセリングが発展するに至った近代以降の歴史を簡潔に述べ、どういう人を対象としてどのように進めてい くのか、その技法などに触れながら述べよ。

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    資料紹介

    東京福祉大学の心理学的支援法(基礎)のレポートです。
    科目名:心理学的支援法(基礎) 科目コード:3590
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    資料の原本内容

    カウンセリングが発展するに至った近代以降の歴史を簡潔に述べ、どういう人を対象としてどのように進めていくのか、その技法などに触れながら述べよ。
    現代社会において、人々が抱えるストレスや不安、対人関係の悩み、自己肯定感の低下など、精神的な問題はますます身近なものとなっている。こうした背景のもと、個人が抱える心理的な課題に対応するために重要となるのがカウンセリングである。カウンセリングとは、心理学の知識や技法を用いて、心の問題を抱える人に対し、理解・共感・援助を通じて問題解決や成長を促す専門的な支援のことである。本稿では、カウンセリングの歴史、対象者、進行方法、主な技法について述べていく。
     まずカウンセリングの起源は、20世紀初頭のアメリカにおける社会的・教育的な動きの中で形成され、その背景には大きく分けて職業指導運動、心理測定運動、精神衛生運動の3つの重要な運動がある。まず当時、急速に進む産業化と都市化により、多くの若者が自らに合った職業選択に迷っていたことを受けてパーソンズは職業指導運動を提唱した。彼は「職業の選択」を出版し、その中で科学的な職業選択モデルとカウンセラーの働き方を説明し、こうした活動と理想がハーヴァード大学で評価され、学校における教育活動の一環として導入されていった。
     次に心理測定運動とは、個人の能力や性格を科学的に理解しようとする取り組みである。心理学が学問として確立されつつあった当時、知能検査や性格検査などの心理テストが発展し、個人の特性を客観的に把握できるようになった。それまでカウンセリングは記録や簡単な質問紙、職業情報に頼っていたため、これらの心理テストがパーソンズの提唱した職業選択の第一のステップにおいて利用されるようになった。
     最後に精神衛生運動とは、精神的健康の保持と予防を重視する立場から始まった活動である。その背景には、経済的大恐慌による社会的混乱と人々の精神的問題の増大といった社会的背景とフロイトの精神分析学やホールの児童研究の影響、精神病や神経症の早期発見と治療、青少年への精神衛生的配慮などの必要性が注目されたことがある。この運動により、臨床心理学者や精神科医が中心となった適応相談が頻繁に行われ、青少年のパーソナリティの発達を導くガイダンスを学校に導入する必要性が勧告されだした。
     こうした起源を持つカウンセリングの対象者は精神的な疾患を抱えた人だけでなく、自分の感情が整理できない、人生の選択に迷っている、自分自身についてもっと深く理解したいといった、比較的日常的な悩みを持つ人々も含まれる。つまり、カウンセリングは「問題を抱えた人」だけのものではなく、「こうなりたい」「こうありたい」と願っていることを尊重し、そこに近づくための支援である。
     カウンセリングの主な進行方法としてまず多くのクライエントは、一刻も早く悩みや苦しみを解消したいと願い、カウンセリングの場を訪れる。具体的な解決策やアドバイスを求める人も多く、「どうすれば楽になれるのか」という明確な答えを期待する。しかしカウンセラーはその悩みの背景や文脈、さらにはクライエントの過去の経験や価値観に注目し、表面的な問題の奥にある心理的な要因を探っていく。この違いが、両者の間に理解の食い違いを生むことがあるが、実際にはカウンセラーが聴く態度をとっているとクライエント自身が、その道へと進んでいく。
     カウンセリングにおいて、この聴く態度は重要なものであり、支援における「聴く」という行為は、単に言葉を耳で受け取ることだけではなく、心の片隅にあって忘れかけている声や、ほとんど聞き取れない弱く語られている声に対しても、耳を傾けることである。そうすることで、今までになかった可能性がクライエントの心の中から生じ、クライエント自身での問題解決につながる。また相手のしぐさをまねるミラーリングやの話すスピードやリズムを合わせるペーシング、話す姿勢、目の動き、腕の動きから心理状態を把握するキャリブレーションといった手法を駆使して良好な関係を築くことも必要となる。
     また食い違いがあるために、クライエントがカウンセリングの意義を十分に理解できないまま、不満を抱いたり途中で来談をやめたりするケースも少なくない。そのような場面において、カウンセラーはクライエントの不満や戸惑いを真摯に受け止める必要がある。そうすることで、カウンセリングがどんなものか分かっていなくとも、どんなことでも真剣に聴いてくれる人だと頼りにして、クライエントは来談を続け、それによってカウンセリングが進展することもある。
     さらに悩みの背景に焦点を当てる過程では、クライエント自身が見たくない感情や記憶と向き合うことになり、強い恐怖や不安感を抱くことがある。それは、過去のトラウマ体験や否定的な自己イメージ、抑圧してきた感情が浮かび上がる瞬間であり、時に心理的負担となる。そのため、クライエントはカウンセリングを受けてから悪化したと言われることもあるが、それを正面から受け入れることで両者の関係が深まっていく。
     ここまで、カウンセリングの歴史や対象者、進行方法や主な技法、注意点について述べてきた。カウンセリングの起源は、職業指導運動、心理測定運動、精神衛生運動の3つの運動であり、精神的な症状を抱える人々だけでなく、「こうなりたい」「こうありたい」と願っていることを尊重し、そこに近づくための支援である。悩みの背景や文脈、クライエントの過去の経験や価値観に注目し、表面的な問題の奥にある心理的な要因を探ることから始まり、特に聴く態度が重要となる。今後も多様化する社会の中で、人間の心の在り方や生き方そのものを支える実践として、カウンセリングの役割はさらに重要になるため、適切な支援を受けられる社会の構築が求められる。
    河合隼雄『カウンセリングの実際問題』誠信書房 2023年
    渡辺三枝子『新版カウンセリング心理学』ナカニシヤ出版2024年
    竹内 健児 『100のワークで学ぶ カウンセリングの見立てと方針』創元社 2021年
    東山 紘久『プロカウンセラーの聞く技術』創元社 2000年
    諸富 祥彦『新しいカウンセリングの技法 :カウンセリングのプロセスと具体的な進め方』誠信書房 2014年

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