無料で見放題の資料がたくさんあります! 東京福祉大学 心理学的支援法(基礎)4.心理学的支援を行う者の基本的態度について 5.心理学的支援を行う者と支援対象者との関係について 6.カウンセラーの訓練、心理学的支援を行う際のプライバシーへの

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    資料紹介

    東京福祉大学の心理学的支援法(基礎)のポイント4-6です。
    科目名:心理学的支援法(基礎) 科目コード:3590
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    資料の原本内容

    4.心理学的支援を行う者の基本的態度について
    私たちは日常の中で、職場や家庭、学校など、さまざまな場面で人間関係に悩み、不安や葛藤を抱えながら生きている。そうした人の心の声に丁寧に寄り添い、その人が本来持っている力を取り戻していくための手助けとなるものが心理学的支援である。しかし、その支援が単なるアドバイスや問題解決にとどまるのではなく、本当に意味のあるものとなるためには、支援者の姿勢や関わり方が極めて重要であるため、心理学的支援を行う者には、特別な基本的態度が求められるのである。
    まずカウンセリングにおいて支援対象者との良好な人間関係を築くためには、何よりも「聴く」ことが重要であり、クライエントが自己の中の可能性に気がついて問題を解決していく。この時カウンセラーの治すという気持ちが出過ぎると、クライエントが自分で自分の可能性を見出すのを阻害してしまい、クライエントが自分の力で治るのだということに頼りすぎると責任逃れや安易に相談を受けることになってしまう。このようにカウンセリングは、「治す」と「治る」の間を常に揺らいでおり、こうしたさまざまな二律背反がカウンセリングの現場にはよく入ってくる。人間性の中にはこういった二律背反的なダイナミズムが存在し、このダイナミズムを通じて我々はそれよりも高い次元のものを創り出すことができる。
    人間が二律背反的なものを持つのは自然なことであり、ひたすらクライエントの言葉に耳傾けていればよいのではないかという考えが生じることもある。そこで重要になるのが、理論である。理論と態度はお互いに補い合うようになっており、理論を深く知れば深く受容でき、クライエントを深く受容した人こそ、より深さを増した理論体系を作れる。
    また心理学的支援を行う者には、ロジャースが提唱した無条件的積極的関心、共感的理解、純粋の基本的態度が特に重要とされている。すなわち、相手を評価せずそのまま受け入れ、相手の感じている世界をその人の視点で理解しようと努め、そして支援者自身も自分の気持ちや反応に正直に向き合いながら誠実に関わるという、三つの姿勢を統合的に保つことが求められる。これらが揃うことで、クライエントは安心して自分を表現できるようになり、内面的な気づきや変化への第一歩が開かれていく。
    ここまで、心理学的支援を行う者の基本的態度について述べてきた。心理学的支援ではロジャースの3原則の基本的態度が重要とされており、人間性の中に存在する二律背反的なダイナミズムを通じてクライエントが自らの内面と向き合い、問題解決に繋げることができる。
    5.心理学的支援を行う者と支援対象者との関係について
    心理学的支援では、支援対象者との関係が重要であり会話を通して心の深い部分に触れようとする時、無意識のうちに相手に安心感や不安、怒りなどの強い反応を引き起こすことがある。こうした無意識の影響は、支援を深めることもあるが関係を難しくする要因にもなるため、心の深層で起こるこうした動きを理解し、適切に取り扱うことは、質の高い心理学的支援に不可欠である。本稿では、心理学的支援を行う際に起こることがある転移で支援対象者とどのような関係になるのかについて述べていく。
    まず転移とは、クライエントが過去の経験や感情、人間関係といったものをカウンセラーに対して投影することである。カウンセリングにおいて、クライエントがカウンセラーを親や兄弟、恋人などと重ね合わせ、同じような感情や態度を持つのはよく見られることである。転移が生じることは、心理的課題が浮かび上がる好機と捉えられるため、支援者がこの現象に気づき、適切に対処することで、支援対象者は自身の感情の由来や過去の人間関係を見つめ直すきっかけができる。
    そして転移には主に陽性転移、陰性転移、逆転移の3つの種類があるとされている。陽性転移とは、支援対象者が支援者に対して好意や信頼、尊敬の感情を抱くものである。この状態は、支援関係を安定させ、深い自己開示を促すきっかけにもなるが、過度な理想化が生じると、現実とのギャップに苦しむこともある。陰性転移はその逆でカウンセラーに対して怒り、不信、敵意などの否定的な感情が向けられる状態である。逆転移とはカウンセラーがクライエントに特別な感情を向けることであり、クライエントを中立的に解釈することができなくなる。
    こうした転移や逆転移は、心理支援の過程でしばしば生じる現象であるが、適切に扱われなければ重大な悪影響を及ぼすことがある。転移が起きると誤解や不信、あるいは理不尽な怒りが向けられやすくなり、些細なアドバイスをしただけでも否定されたと受け取ってしまう可能性がある。また逆転移が起きて、支援者が自分自身の内面から生じる感情に気づかないままクライエントに対応すると、客観性を欠いた反応や判断が下されることになり、その結果支援者自身がクライエントとの関係に巻き込まれ、無意識に偏った関わり方をしてしまうことがある。
    ここまで、心理学的支援を行う者と支援対象者との関係について述べてきた。心理学的支援において、転移と逆転移はよく起こるものであり人間同士の交流では、何らかの感情が生じるのは特別なことではない。転移を正しく理解し、意識的に取り扱うことで、よりクライエントの自己理解を手助けすることができる。
    6.
    カウンセラーの訓練、心理学的支援を行う際のプライバシーへの配慮について
    カウンセリングは、悩みを抱える人の心に寄り添い、その人が自分自身と向き合いながら変化を遂げていく過程を支える対話的な援助活動である。その実践には、カウンセラーの温かな態度や共感的理解に加えて、理論に裏付けられた的確な支援技術が不可欠である。また、クライエントが安心して自己を開示できるためには、プライバシーの保護が極めて重要な要素となる。
     まずカウンセリングでは、相手を評価せずそのまま受け入れ、相手の感じている世界をその人の視点で理解しようと努め、そして支援者自身も自分の気持ちや反応に正直に向き合いながら誠実に関わるという、三つの姿勢を統合的に保つことが求められる。そうすることで、クライエントは安心して自分を表現できるようになるが、体験に裏付けられた深い知識を持ってこそ、本当の意味での受容ができる。態度と理論が相互に補完し合うことで、クライエントの成長と回復を支える豊かな関係性が生まれる。
     カウンセリングの訓練において、テープレコーダーが使用されることは多い。それは、自分の面接技法を客観的に振り返り、どのような応答がクライエントに影響を与えたかを確認できる、指導者からのフィードバックも録音をもとに具体的に受け取れるといった良い面があるからである。しかし、録音にはクライエントの非常にプライベートな内容が含まれるため、その取り扱いには最大限の注意が必要である、録音を利用する際にはクライエントからの事前同意が不可欠であり、その同意も十分な説明を行わなければならないといった欠点も存在する。
     上で述べたようにカウンセリングは的確な指導を受けることが重要である。指導者と一対一で訓練を行うことにより、自分がカウンセリングを受けているように感じ、自分自身を知り自分を受容でき、クライエントの気持ちが分かりやすくなる。一対一での訓練が難しい場合には、10人程度のグループで面接記録を発表し合い、互いのフィードバックを通じて学ぶ形式も有効である。他者の視点からの気づきを得ることで、自身では見落としていた対応や課題にも気づくことができ、学びの幅が広がる。
     ここまで、カウンセラーの訓練、心理学的支援を行う際のプライバシーへの配慮について述べてきた。カウンセリングには、3つの態度と専門的理論の両立が求められ、それを支えるための訓練が必要である。中でも、録音の扱いや情報管理には最大限の注意が必要である。また、カウンセラーとして成長していくためには、指導者との連携はもちろん、グループでの発表や意見交換といった他者との学びの場も有効に活用するべきである。

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