倫理学のレポートで、国内におけるパーソン論の誤解を解いたうえで、パーソン論の是非について論じています。
高度な内容となっているため、卒論はもちろんのこと修論の参考にもなるかもしれません。
字数は全てで4077字程度です。
はじめに
日本国内の生命倫理学の入門書では、パーソン論に触れられることが多くある。森岡の『生命学に何ができるか』(2001)においては、第二章に「パーソン論のリアリティ」、「パーソン論との対決」という節がある。宇都宮らの『倫理学を学ぶ人のために』(1994)には、品川がパーソン論について説明している箇所がある。このようにパーソン論は生命倫理論、とりわけ人工妊娠中絶論や安楽死論を語るうえで重要な議論であることは間違いない。その是非については、米国ではパーソン論を肯定的に捉えている生命倫理学者が多くいるが、日本では否定的に捉えている学者が多いように思われる。我々はパーソン論を受け入れるべきなのだろ...