東京福祉大学の障害者福祉論の科目終了試験のポイント5です。
科目名:障害者福祉論 科目コード:2023
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5.障害者権利条約について
二度の世界大戦で多くの命が奪われ、人権を踏みにじられるような出来事が発生したことを受けて、こうした悲劇を二度と繰り返してはならないという反省から1948年に世界人権宣言が国連総会で採択された。世界人権宣言は、すべての人間が生まれながらに基本的人権を持っているということを、 初めて公式に認めた宣言である。しかし、障害者権利宣言では障害者の権利否定条項を含んでおり、さまざまな課題を残していた。
このように国連では、障害者の人権への意識は低調であったが、1981年は国際障害者年と題する総会決議において、障害者の権利に関する世界的な関心が高まる契機となった。当初は、国際障害者年が「障害者のための国際年」であったが、「障害者の国際年」に修正され、障害者の主体性を重視するものとなった。またテーマも当初の「完全参加」から「完全参加と平等」となり、「障害を個人と環境との関係として捉えるべきだ」という表現が決議に含まれることとなった。こうした積み重ねにより、2006年に障害者権利条約が成立した。この条約は、障害者の権利と自由を包括的に保障するものであり、障害者に対する差別の禁止、社会参加の促進といった具体的な権利が明文化された。
障害者権利条約では、障害を個人の欠損や機能不全として捉える医学モデルではなく、モノ、環境、人的環境など社会のあり方によって生み出されているとする社会モデルや国際機能分類(ICF)を反映している。そして障害者の教育機会の確保についても明記されており、特にインクルーシブ教育の推進が重要視され、障害者が特別な支援を受けながらも一般の教育機関で学ぶ権利が保証されている。
日本は障害者権利条約が採択された翌年の2007年に条約へ署名を行ったが、批准には大規模な国内法の整備が必要とされた。その後、民主党によって障がい者制度改革推進本部が設置され、本格的な法改正作業が開始された。この流れの中で、障害者基本法の改正が行われ、障害者権利条約の趣旨を国内法に反映させる第一歩が踏み出された。こうした法改正が行われ、日本は障害者権利条約を批准し、2014年に効力を生じた。
ここまで、障害者権利条約について述べてきた。世界人権宣言が採択された当時は、障害者の権利がはっきりと確立されていなかったが、国際障害者年において世界的な関心が高まったことから、2006年に障害者権利条約が成立した。日本でもさまざまな法改正を行って障害者権利条約を批准したが、現在も多くの課題が残されている。そのため、これからも障害者が生活しやすいような環境を整備することが求められる。
障害者としごとマガジン「障害者の権利に関する条約」(障害者権利条約)とは? 目的と内容のポイントをわかりやすく解説」 2022年
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