無料で見れます! 東京福祉大学 知覚・認知心理学 レポートB+評価 設題1:短期記憶、長期記憶、作動記憶という用語を用いて、人間の記憶の仕組みとその特徴について述べよ。

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    資料紹介

    東京福祉大学の知覚・認知心理学のレポートです。
    科目名:知覚・認知心理学 科目コード:3610
    設題:短期記憶、長期記憶、作動記憶という用語を用いて、人間の記憶の仕組みとその特徴について述べよ。
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    資料の原本内容

    短期記憶、長期記憶、作動記憶という用語を用いて、人間の記憶の仕組みとその特徴について述べよ。
     記憶は我々が経験した出来事や学んだ知識を保持し、利用する複雑なプロセスである。このメカニズムは質的な違いと時系列的な変化によって特徴付けられ、深く理解されるべきである。記憶は符号化、貯蔵、検索の3つの段階を経て形成され、短期記憶、長期記憶、作動記憶の3つの記憶システムに分けることができる。本稿では、この3つの記憶システムの特徴と役割、それぞれの記憶の間にどのような関係があるかについてまとめていく。
     最初に短期記憶とは、一時的に情報を保存するための記憶システムであり、外部から得られた情報を短期間保持する。電話番号を一時的に覚える時に使われているのが短期記憶であり、時間的な制約を持つだけでなく,その容量にも制約がある。この容量についてジョージ・ミラーが実験を行った所、人間が瞬間的に保持できる情報の数は7±2であるとされた。実際に私たちの身の回りでも、郵便番号が7桁であるように、私たちの記憶容量を考えて作られている。
     また短期記憶が強い弱いというのは、保持する容量や保持しておく時間が多い少ないことを意味するが、短期記憶が弱いからといって、記憶力が弱いことにはつながらない。そこで重要となるのが、チャンキングという手法である。チャンキングとは、複数の情報に何らかの繋がりを作り、まとまりとして理解することで、記憶が得意な人は、歴史年号を語呂合わせで覚える、数学の公式を導出手順から理解した上で覚えるというように、チャンキングを駆使している。
    次に長期記憶とは、現在の認知活動に使用していないが,潜在的には利用可能な永続的な記憶である。長期記憶は上で挙げた符号化、貯蔵、検索の各段階において、リハーサル、処理水準、干渉、体制化、文脈効果と状況依存性といった要因が重要な役割を果たす。まず符号化に影響を及ぼす要因としては、リハーサルと処理水準がある。リハーサルとは、英語の単語を覚えるときに繰り返し見て覚えようとする手法である。ただ単語を見ているだけでなく、覚えようという意図をもって繰り返すことを精緻化リハーサルと呼び、単に短期記憶に維持するためだけに繰り返す維持リハーサルと区別している。そして英単語を覚える際には、その単語を使った文章などを考えて、深い処理をすることで記憶を強化する。こういった情報をどれだけ深く意味付けて処理するかが処理水準である。
    記憶の貯蔵はps5のゲームをした後にps4のゲームをすると操作方法が違うというように、新しい情報と既存の情報で記憶が混乱することを干渉と呼ぶ。干渉にはすでに記憶している情報が新たに記憶しようとする情報を妨害する順向干渉と、新たに記憶した情報がすでに記憶している情報に対して干渉する逆向干渉がある。
    こういった記憶の混乱を防ぐために、情報をグループ化し、体系的に整理することで記憶を効率化できる。これを体制化と呼び、友人の名前を思い出す際に同級生などをまとまって思い出すことが挙げられる。またスポーツ選手が観客のいない静かな環境で練習して上達しても、試合本番では観客の歓声や緊張感が加わり、実力が発揮できない時があるように、記憶を符号化した際の周囲の環境や状況が検索に影響を与えることがある。これを外的な状況では文脈効果、内的な状況では状況依存性と呼ぶ。
     最後に作業記憶とは、情報を一時的に保持しながら処理するための記憶システムで、ワーキングメモリとも呼ばれる。作業記憶の役割は、入ってきた情報を脳内にメモ書きし、どの情報に対応すればよいのか整理し、不要な情報を削除することである。作業記憶の保持時間は自分の意思次第であり、作業を続けている間に、自分の意思で何度も何度も思い出せば、その間はずっと保持しておくことができるが、作業が終わって必要ないと判断されたら、消えてしまう。
     作業記憶は仕事や家事での、複数の作業状況を把握しながら同時並行して物事を進めなければならない時において、作業の優先順位を決める、突然の出来事に対応するといったことができる。しかし、作業記憶が上手く機能していない場合、目の前のことに集中できない、頻繁に忘れ物をしてしまう、活動の切り替えができないなどの問題が発生する。
     3つの記憶システム間の関係は非常に密接であり、それぞれが単独で機能するのではなく、互いに補完し合うことで効果的に情報を処理し、蓄積している。短期記憶は、情報が取り込まれる最初のステージであり、ここでの情報が繰り返し復習されたり、深く意味付けされると、長期記憶へと送られる。加えて、短期記憶は長期記憶から情報を引き出す役割もある。この短期記憶から長期記憶に移行する過程において、橋渡しする役割を担っているのが、作動記憶である。
     ここまで、3つの記憶システムの特徴と役割、それぞれの記憶の間にどのような関係があるかについて述べてきた。短期記憶、長期記憶、作動記憶は、それぞれが異なる特徴と役割を持ちながら、人間の記憶全体を形成しており、これらのシステムが相互に作用することで、私たちは知識を蓄え、それを活用して思考や行動を展開できる。
     そんな記憶が人間にとってなぜ重要なのか、私はこれまでの後悔から学び、同じ過ちを繰り返さないためだと思う。人間生きていれば必ず過ちを犯し、後悔する。しかし、ほとんどの人間はその後悔から学び、同じ過ちを繰り返さないようにする。それができるのは、自分が過ちを犯したという記憶があるからであり、もし仮に記憶がなかったとしたら自分の何が悪かったのか考えることもせず、罪悪感も生まれない。それはそれで良いことなのかもしれないが、人間としては成長できず、そこら中にいる虫と同じである。人間は時に過ちを犯すが、そこで後悔して記憶し、次に生かそうと努力するからこそ、成長し続けてきたのだと私は思う。
    道又爾『認知心理学―知のアーキテクチャを探る』有斐閣アルマ 2011年
    高橋雅延「記憶の深層 ひらめきはどこからくるのか」岩波書店 2024年
    有馬道子「もの忘れと記憶の記号論」岩波書店 2012年
    櫻井武「睡眠の大研究 しくみと役割をさぐろう」PHP研究所 2022年
    坂井建雄「できるかな?人体おもしろチャレンジ」えほんの杜 2020年

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