文学史・文芸理念研究は何を明らかにしようとするのか。その有効性と問題点は何か。
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文学史・文芸理念研究は何を明らかにしようとするのか。その有効性と問題点は何か
文学史研究の目的は「それぞれの事実の原因を見出し、それぞれの事実の与えた影響を検証し、それぞれの事実の間に脈絡をつけることである」(『日本文学研究の方法』以下①と記す。p360)
例えば「坪内逍遥はなぜ写実主義を『小説神髄』で唱えたのか」(①p360参照)というようなことを明らかにするのが文学史研究である。「この問題を解くには当時の文学の状況を知っておくことが必要である。当時「『小説神髄』が書かれるまでは小説は戯作文学であり、興味本位で読者を面白がらせることを目的に書かれたものだった。これに対して逍遥は、文学は、それ自体独立して価値があるものだと写実主義を説いた。『南総里見八犬伝』を引いて小説の中に現実に存在しないような人物を作り出すことを否定し、小説の中でも現実の世界の人間と同じように描かなければならない、と主張した。」(①p360~361参照)また二葉亭四迷は「『小説総論』で勧善懲悪小説を否定し、写実小説(模写小説)こそが小説の本来の姿であると説いているが、逍遥と違うところは目に見える世界(実相)をか...