東京福祉大学 心理学を活かしたキャリアマネジメント レポートB+評価 設題:心理専門職として働く者に求められる知識と倫理について述べた上で、それらを将来、自身の仕事にどのように活かすことがで きるかについて述べよ。

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    資料紹介

    東京福祉大学の心理学を活かしたキャリアマネジメントのレポートです。
    科目名:心理学を活かしたキャリアマネジメント
    科目コード:3650
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    資料の原本内容

    心理専門職として働く者に求められる知識と倫理について述べた上で、それらを将来、自身の仕事にどのように活かすことがで きるかについて述べよ。
    現代社会では、さまざまな領域で心理的な問題が深刻化している。例えば、教育現場では生徒の不登校やいじめの問題が増加し、家庭内では児童虐待や親子関係の悪化が問題となっており、労働・産業領域においては、長時間労働やハラスメント、職場のストレスの増加が従業員のメンタルヘルスに深刻な影響を与えている。これらの問題を解決するために、心理専門職の役割はますます重要になっている。そのため、心理専門職には専門的な知識と倫理観が求められる。本稿では、心理専門職として働く者に求められる知識と倫理について述べた上で、それらを将来、自身の仕事にどのように活かすことができるかについて述べていく。
    まず主な心理専門職として挙げられるのが臨床心理士と公認心理師である。臨床心理士とは、文部科学省が認可した公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会が行う審査によって「心の専門家」として認定される資格である。主な仕事は、クライアントと会って適切な心理検査を行うアセスメント、心理査定の結果に応じてどのような心理療法を採用するかを決めるカウンセリング、クライアントの心理的な問題を解決するために、地域や周辺の集団に働きかける地域援助、心の援助をする上での技術的な手法や知識の実証性を高めるための調査研究活動の4つである。
    次に公認心理師とは、2017年に施行された公認心理師法で誕生した、心理職として初の国家資格である。文部科学省および厚生労働省の管轄下の公益社団法人日本公認心理師協会が認定団体である。大学で公認心理師カリキュラムを履修し、大学院で指定科目を履修するか、指定の施設で実務経験を2年間積むことで資格を取得できる。公認心理師も臨床心理士と同じく医療・教育・産業・福祉・司法の複雑な領域にまたがって働くことでき、関係者としっかり連携して適切な支援がなされるよう遂行していく役割を担っている。
     臨床心理士や公認心理師など心理専門職に求められる知識、技術について厚生労働省の資料では、心理状態を観察し、その結果を分析する心理アセスメント技術と心理に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助を行う心理相談技術が挙げられている。一つ目の心理アセスメント技術とは、面接や観察、心理テストなどを通じて、要支援者の心理状態や行動特性を評価することである。心理アセスメントの主な方法としては心理検査が挙げられ、知能検査、学力検査、人格検査、適性検査などさまざまな検査を実施して、患者にとって必要な援助は何かを考える。
    二つ目の心理相談技術とは、心理学の知識や専門技術を活かして、心理に関する相談に応じる際に用いられる技法のことで、あいづちや傾聴が挙げられる。心理相談技術を用いることで、クライエントの心理的負担を軽減し、自分で考えられるように手助けする。また心理専門職は、法律や制度に関する知識も求められる。医療領域では、患者の権利を尊重しながら適切な心理的ケアを提供するため教育領域では法律の枠組みを踏まえて、心理支援を行うため、さまざま領域において法律や制度を理解していなければ、適切な対処ができない。
    そして心理専門職には知識や技術の他に倫理が求められる。上で述べた法律や制度では、秘密保持についても記載があるが、法的な秘密は本人が隠しておきたいことだけでなく、隠すことに本人が実質的利益のあると客観的に認められる事柄であるのに対し、倫理的な秘密とは本人が心理専門職に対する信頼をもとにして打ち明けた事柄とされ、秘密の価値の判断は含まれず、法的な秘密より範囲が広い。
    そもそも秘密保持とは、業務を通してクライエントから得た個人情報や秘密を第三者に開示しないことである。秘密保持がなされない場合、要支援者が安心して話ができないことで治療の効果が低下する、クライエントが過去に経験したトラウマや恐怖が公にされることになり、孤立化を招くことがあるなどの問題が発生するため、心理的援助には不可欠である。第三者に情報を提供する時には、クライエントの承諾が必要であり、法令の遂行に支障を及ぼす、クライエントの承諾を得るのが困難な場合には例外として認められる。
     また医療領域では、クライエントが自分の治療に関する情報を十分に理解した上で同意するインフォームドコンセントの手助けが必要とされる。疾患に関する知識や服薬の効果などが素人では理解できない時があるため、心理専門職が架け橋となって患者に分かりやすく説明し、クライエントの権利を尊重する、情報の扱いについて明確にすることが重要である。さらに日本心理臨床学会の倫理基準によると、要支援者の人種、年齢、性別等の違いによって、提供する援助活動の内容に不当な差別をしない、心理専門職としての知識と技術水準を保持し、及び向上させるために、不断の学習と継続的な研修によって自己研鑽を積まなければならないなどの倫理が必要とされている。
     ここまで、心理専門職として働く者に求められる知識と倫理について述べてきたが、これらを医療・教育・福祉などさまざまな領域で活かしていきたい。具体的に、医療領域では、患者やその家族の心理的ケアを担当する際に、心理学の知識を活かしながら、個々の状況に応じた柔軟な対応が求められるため、医師や看護師と協力してより良い治療環境を提供する、教育領域ではいじめや不登校などの問題に対応する際に、法律を遵守しながら、児童の自己決定権を尊重し、信頼関係を築くことを心掛けたい。近年は公認心理師という新たな国家資格の誕生によって、心理専門職の果たす役割はますます大きくなっている。そのため他領域との専門職とも連携して適切な支援を行うことが求められている。
    新川田譲 『心理カウンセラーをめざす人の本』 成美堂出版 2024年
    日本心理学会「認証心理士資格準拠実験・実習で学ぶ心理学の基礎」日本心理学会2015年
    渡邊芳之「心理学入門」有斐閣アルマ2011年
    橋口佐紀子「心理学部 中高生のための学部選びガイド」ぺりかん社2023年
    山口真美「こころと身体の心理学」岩波書店
    2020年
    厚生労働省「公認心理師に求められる役割、知識及び技術について」2016年
    https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000138799.pdf
    日本心理臨床学会「倫理基準」2016年
    https://www.ajcp.info/pdf/rules/0502_rules.pdf

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