中央大学法学部通信教育課程 2022年度民法総論レポート第1課題
課題1
権利能力と行為能力との関係について、具体例を挙げながら述べてください。
はじめに
かつては奴隷や家子、家婢は権力を有しなかったが、現代では男も女も、幼児も老人も、障害者も健常者も、犯罪者もすべて等しく権利が与えられている。しかし、赤ん坊や知的障害者が現実に取引きできるわけではない。モノの購入や売買契約を結ぶような権利は誰にでも与えられるとともに、その行為を制限している。このような権利と行為の関係性について説明していく。
1 権利能力について
「私法上の権利の取得や義務の負担が可能になる能力」を権利能力といい、権利能力がなければ、他人と契約を結ぶことも、財産を所有することもできない。権利能力をもつことができるのは個人と法人に限られ、個人とは自然人のことで、法人とは人以外のもので、法律によって権利能力を承認されたものである。
「私権の享有は、出生に始まる。」(民法3条1項)(以後も条項は民法を示す。)とは、人は誰でも生まれながらにして、権利をもつことができ、これを権利能力平等の原則という。たとえば、子どもでも、お小遣いで買った本の所有権をもつことができる。それに対し、犬や猫...