中央大学通信教育課程 2022年度刑法総論レポート第4課題
課題4
甲は、かつてより険悪な仲となっていた乙に道ばたでいきなり殴りつけられ、身体を地面に押さえつけられたので、乙の顔面を1回殴りつけて、ひるんだすきに乙から逃れたが、乙はさらに甲に襲いかかってこようとしたので、これを避けながら、乙が勢いで体制を崩したのをとらえてその顔面を1回殴打したところ、乙は転倒して後頭部を地面に打ち付け、意識を失った(第1暴行)、その後、甲は、激高のあまり、倒れて動かなくなっている乙に、「俺をなめるな」等の言葉を発しながら乙の腹部を足蹴にした(第2暴行)。乙は、その後死亡するに至り、死因は甲の第1暴行によるクモ膜下出血であったが、第2暴行により、肋骨骨折等の傷害を負っていたことも判明した。甲の罪責を論ぜよ。
1 論点
甲は、傷害致死罪の過剰防衛(刑法第36条第2項)により任意的減免されるか。防衛の意思をもった第1暴行と正当防衛の相当性を欠く第2暴行をどのようにとらえるかが問題となる。
2 過剰防衛について
正当防衛は、急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした反撃行為(刑法第36条第1項)であり、過剰防衛とは、その防衛(反撃...