中央大学通信教育課程 2022年度外国法概論レポート第2課題
課題2
陪審制度について論ぜよ。
はじめに
日本の裁判員制度では、一般国民から選ばれた裁判員と裁判官が一緒になって事実認定、法令の適用、刑の量定を行うが、イギリスでは一般国民から選ばれた陪審員が単独で事実認定をしている。このように裁判の重要な役割である事実認定を法律の素養があるとはいえない一般国民に委ねている陪審制をとっているイギリスの裁判制度を社会、歴史、法思想を踏まえ、検討していく。
1 陪審裁判
イギリスの18歳から75歳までの一般国民から選ばれた12人の陪審員は、法廷で認められた証拠に基づき、被告人が犯罪を行ったか否か、法律に違反したか否かという事実認定を委ねられている。主に刑事裁判で重い裁判を裁く際に陪審制度を用いており、有罪か無罪といった判決を下すだけで判決理由を付す必要もない。判決は陪審員への脅迫や買収などにより有罪評決が成立しないことを避けるため、全員一致の評決だけでなく、多数評決も認められている。素人裁判官の制度は、上級裁判所の裁判官のほとんどがエリート、富裕層で占められる中、一般市民である治安判事の感覚を持ちこむことで、イギリスの法システムにバランスをもたら...