中央大学通信教育課程 2022年度刑事訴訟法レポート第3課題
課題3
違法排除の場合、物的証拠が関係する場合と供述証拠が関係する場合とでどのような違いがあるかを、その理由を踏まえて考察しなさい。判例に言及して具体的相違について触れて考察すること。
1. 違法収集証拠の排除
違法収集証拠の排除とは、違法な手続によって収集されたものは裁判における証拠から排除すべきであるという理論である。物的証拠を収集する手続に違法があるとその証拠能力の否定される場合があることは、明文の規定はないものの、判例によって採用された原則とされ、一般にも認められている(最判昭和53・9・7)。なお、供述証拠については、憲法38条2項や刑訴法319条1項により、拷問や長期の拘禁の後の自白など違法捜査によって得られたものが証拠から排除される。
憲法31条は適正手続の保障を定め、同35条は証拠物の強制的な収集には令状が必要だとしており、違法収集証拠は、憲法違反その他重大な違法手続によって得られた証拠の証拠能力は否定すべきであるとしている。ただ、物的証拠の場合、収集手続に違法があってもなくても、その証拠の証明力自体には変わりないし、違法な手続によって収集された物的証拠の証拠能力を...