中央大学通信教育課程 2022年度刑事訴訟法レポート第2課題
課題2
1. 論点
検察官が犯罪事実を法的に評価して、「訴因」という形で枠付けすることは、審判対象を被告人に明確にするという役割を果たしている。その結果、被告人はどんな防御を行えばよいか慎重に考えることが可能になり、当事者を実質的に対等な関係に立たせるという面が保障されている(当事者・論争主義)。しかし、被告人に対して、この防御対象の告知機能を果たす訴因の変更が認められているのはなぜか、また、刑訴法312条が訴因変更の要件にしている「公訴事実の同一性を害しない」とは何を意味するのかが論点となる。
2. 公訴事実とは
公訴事実とは、検察官が被告人の行為が一定の刑罰法規の要件を充足するとした全ての事実である。そして、公訴事実は、日時、場所、方法を具体的に明示する訴因の形式で記載しなければならない(刑訴法256条3項)。
「訴因の形式で明示された公訴事実」が攻撃・防御の対象となり、具体的に、公訴事実の告知を訴因の形式で受けなければ、被告人は具体的な防御ができないため、訴因の形式で公訴事実を告知する必要がある(当事者・論争主義の要請)。
3. 訴因と訴因変更の制度の意義
憲法31条で...