中央大学通信教育課程 2022年度日本法制史レポート第1課題
課題1
律令国家の行政機構について考察しなさい。その特徴・長所・問題点・変質などに注意して述べなさい。
1 官職制度
律令国家は公地公民制を原理としており、天皇が直接全国の人民、土地を支配するためにはきわめて大規模な官僚機構が必要となる。大きな組織を効率よくするには分業制は必要不可欠であり、養老令では太政官のもと八つの省が付属し業務を分担する体制(二官八省制)をとっており、第二編職員令において各官職の職掌、権限を明文で定め、分業体制が効率よく確実に機能できるようにしている。このピラミッドの型の組織形態は指揮・命令系統が明確であるため、大きな組織であっても末端まで十分に管理できるというメリットがある。
2 中央官制
養老令では天皇に直属する中央の局部として、太政官と神祇官の二官が置かれており、神祇官は祭祀をつかさどり、太政官は一般政務をつかさどる最高部局で、八省を統轄する役所として、国の政治をとりおこなう中枢部であった。太政官の下に、天皇の国事行為に関する事務および後宮関係の事務を担当する中務省、文官の人事・養成・行賞などを担当する式部省、本姓・継嗣・葬儀・外交関係などの事務を担当...